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朝食抜きは骨折リスクを高める?骨粗しょう症と食生活の意外な関係

朝食抜きは骨折リスクを高める?骨粗しょう症と食生活の意外な関係

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【朝食抜き・遅い夕食は骨折リスクを高める】

最近の大規模な研究により、朝食を抜くことや夕食が遅い生活習慣が、骨折のリスクを高めることが明らかになりました。

この研究は、日本全国で約92万人を対象に、健康診断データと医療請求データを用いて行われました。対象者の平均年齢は66歳で、2.6年間にわたって骨折の発生が追跡されました。

調査の結果、以下のような事実が明らかになりました。

Fig3朝食抜きリスク

Figure 3:各生活習慣と骨折リスクのaHR
朝食抜き(aHR=1.18)、遅い夕食(aHR=1.08)、喫煙(1.11)は骨折リスク増加に関連。運動習慣(0.91)、速歩き(0.84)、十分な睡眠(0.95)はリスク低下と関連。
  • 朝食を抜く人の骨折リスクは1.18倍
  • 遅い時間に夕食をとる人の骨折リスクは1.08倍
  • この2つの習慣が重なると、骨折リスクは1.23倍に上昇

食事抜き組み合わせ

Figure 4:食習慣の組合せと骨折リスク
「朝食抜き+遅い夕食」の組合せは最も高いリスク(aHR=1.23)を示す。朝食か夕食のいずれかのみでもリスク増加(1.09〜1.20)。悪習慣の蓄積によるリスク増が示唆される。

これは、年齢や性別、運動習慣など他のリスク要因を考慮した上での数字です。

つまり、「朝食を抜く」「寝る直前に夕食をとる」といった習慣は、それだけで骨を弱くしやすいということなのです。


【なぜ朝食や夕食の時間が骨に影響するのか?】

それでは、なぜこのような食習慣が骨粗しょう症や骨折と関係するのでしょうか?いくつかの理由が考えられます。

① ビタミンDやカルシウムの不足

朝食を抜くと、カルシウムやビタミンDの摂取量が不足しがちになります。これらは、骨を強く保つために欠かせない栄養素です。

特にビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける重要な役割を担っており、不足すると骨密度が低下しやすくなります。

② ホルモンと骨代謝の乱れ

夕食が遅くなると、体内のホルモン分泌のリズムが乱れます。夜遅くの食事は、コルチゾールというストレスホルモンを上昇させるとされており、このホルモンは骨を弱くする作用があります。

また、食事の時間は体内時計(概日リズム)に影響します。不規則な食事は、骨をつくる細胞(骨芽細胞)や骨を壊す細胞(破骨細胞)のバランスを崩す可能性があるのです。

③ 不健康な生活習慣の積み重ね

骨粗鬆症のリスク因子.png

研究では、朝食を抜き、夕食が遅い人ほど以下のような傾向があることもわかりました。

  • 喫煙率が高い
  • 飲酒習慣がある
  • 運動習慣が少ない
  • 睡眠時間が短い

これらの要因も骨粗しょう症のリスクを高めるため、悪い生活習慣が重なって骨折のリスクを押し上げていると考えられます。


食生活

Table 1:食習慣別のベースライン特性
食習慣ごとに、年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、運動、睡眠などに有意差があることを示す。朝食を抜き遅く食べる群は最も若く、喫煙・飲酒率が高く、運動・睡眠が不足していた。
 

【骨粗しょう症を防ぐためにできること】

それでは、骨折を予防するために、私たちが日常生活で気をつけられることは何でしょうか?

● 規則正しい食事を心がける

朝食摂取で骨良好.png

1日3食、特に朝食をしっかり摂ることが重要です。カルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚、大豆製品など)を意識しましょう。

また、夕食は寝る2時間以上前にとるようにし、胃腸や骨への負担を減らしましょう。

● 適度な運動を続ける

運動で骨粗鬆症予防.png

研究では、運動習慣や歩く速度が速い人ほど骨折リスクが低かったと報告されています。ウォーキングやスクワットなどの軽い運動から始めて、習慣化することが大切です。

● 質の高い睡眠をとる

睡眠で骨粗鬆症予防.png

十分な睡眠は、骨の代謝にも良い影響を与えます。不眠や夜更かしは、骨の健康を損なう原因になるため、毎日同じ時間に寝て起きる習慣をつけましょう。

● 禁煙・節酒を意識する

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喫煙は骨密度を下げ、骨折リスクを上げます。過度な飲酒も骨に悪影響を与えるため、お酒は適量にとどめることが大切です。


【まとめ:骨の健康は日々の習慣から】

この研究は、食事の時間という一見ささいなことが、骨の健康に深く関わっていることを示しています。

とくに中高年の方や、骨粗しょう症が気になる方にとって、「朝ごはんをきちんと食べる」「夕食を早めにすませる」という行動は、今日からでもできる効果的な予防策です。

骨折は一度起きると、寝たきりや介護が必要になるなど、生活の質を大きく下げる可能性があります。だからこそ、日常の小さな工夫が将来の自分の体を守ることにつながるのです。

ぜひ今日から、あなたの食生活を見直してみませんか?


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