プロサッカー選手が大けがをした場合、その後のキャリアにどのような影響が出るのでしょうか？特に「前十字靭帯再建術（ACL手術）」を受けた選手に注目し、彼らのキャリアがどのように変化するのかを紹介します。

 

さらに、約30年間にわたってイングランドのプロサッカーリーグに所属した選手4117人のデータをもとに、手術を受けていない選手の「通常のキャリア寿命」とも比較していきます。

 

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【ポジション別に見るキャリア寿命の違い】

 

サッカー選手のキャリアの長さは、ポジションによって明らかに差があります。最も長くプレーしているのはゴールキーパーで、平均12.4年。一方、フィールドプレーヤーは平均11.6年とやや短くなっています。

 

ゴールキーパーは試合中の移動距離や身体的接触が少ないため、長くプレーできる傾向があります。さらに、彼らはプロ入りが遅く、引退も遅いため、全体としてキャリアが長くなりやすいのです。

 

一方、ディフェンダーは他のポジションと比べて1試合あたりの出場時間やフル出場回数が多く、耐久性に優れていることもわかりました。これは守備における経験やポジショニングが重要視されるためと考えられます。

 

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【能力レベルとキャリアの関係】

 

選手のキャリアは、どのリーグでプレーしていたかによっても大きく左右されます。イングランド・プレミアリーグ（EPL）と国際試合に出場していた選手（EPL + I）は、平均14.8年も現役で活躍しています。

 

一方、下部リーグ（リーグ2）にしか所属しなかった選手は、キャリアが平均6.2年と半分以下に留まります。特にL2に所属した選手の62.9％は、キャリアが3年未満で終わっていました。

 

また、プレミアリーグの選手であっても国際試合に出場していない場合は、キャリアが平均13.7年とやや短くなります。能力の高さは、長期的なキャリア維持において重要な要素だと言えるでしょう。

 

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【ACL手術後のキャリアはどう変わる？】

 

サッカー選手にとって前十字靭帯損傷は重大な怪我の一つです。ACL再建術（ACLR）後のキャリア持続率は、年齢やリーグレベルによって異なります。

 

今回の調査では、平均30歳のプロ選手において「まだ現役でプレーしている率（still playing率）」は79.8%でした。一方、ACL手術後の選手では、報告されたデータによって最大12.9%低い数値が見られました。

 

たとえば、イングランドと海外のトップリーグでプレーしていた選手のACL手術後の5年後の「still playing率」は66.9%であり、同年代・同レベルの健康な選手（79.8%）と比較して明らかに下回っています。

 

ただし、ACL手術を受けてもキャリアを長く続ける選手は存在します。特に若いうちに手術を受けた選手や、リハビリが十分に行われた選手では、回復後も高水準でプレーを継続できる可能性があると示唆されています。

 

 

【まとめ】

 

本記事では、ACL手術後のプロサッカー選手のキャリア寿命について、ポジションや能力別、健康な選手との比較を通じて解説しました。

 

* ゴールキーパーは最も長くプレーし、平均12.4年

* EPL + 国際試合経験者は平均14.8年と圧倒的な長寿命

* ACL手術後のキャリアは、最大で12.9%短縮される可能性あり

 

これらの知見は、選手自身や指導者、医療関係者が、怪我からの復帰戦略を立てる上で重要な情報です。科学的根拠に基づいた判断が、選手の将来を大きく左右する可能性があります。

 

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【論文】

Jones M, Motesharei A, Ball SV, et al. Establishing 'normal' career longevity in professional footballers allows comparison to that of players with injuries and surgery. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2025. DOI: 10.1002/ksa.12722