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もう悩まない足裏の痛み:【足底腱膜炎】衝撃波治療の安全性と効果を解説
足底腱膜炎の新しい治療法「衝撃波治療」とは?最新研究から読み解く効果と安全性
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は、かかとの痛みの代表的な原因で、多くの人が悩まされています。特に朝起きて最初の一歩がつらい、長時間立ちっぱなしができないという方には深刻な問題です。
本記事では、従来の治療で改善しなかった慢性的な足底腱膜炎に対して、注目されている治療法「体外衝撃波治療(ESWT)」の効果と安全性について、アメリカで行われた大規模な臨床試験の結果をもとに詳しく解説します。
【体外衝撃波治療とは?その仕組みと利点】
体外衝撃波治療(ESWT)は、体の外から高エネルギーの衝撃波を痛みの原因部位にあてることで、組織の回復を促す治療法です。
この治療はもともと尿路結石の破砕に使われていた技術で、近年では整形外科領域にも応用されるようになりました。
衝撃波とは?
衝撃波とは、空気や水の中を瞬間的に伝わる圧力の波です。この波が体内に入ることで、痛んだ組織に微小な刺激を与え、血流を良くし、組織の修復を促すと考えられています。
メスを使わない非侵襲的治療
衝撃波治療の一番の利点は「手術ではない」という点です。皮膚を切らず、短時間の施術で済むため、リスクが少なく、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
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【治療効果の検証:ランダム化比較試験の結果】
この治療法の効果を科学的に証明するため、アメリカやドイツの病院を含む6つの医療機関で、合計150人の患者を対象とした臨床試験が行われました。
患者は無作為に「実際に衝撃波治療を受けるグループ(アクティブ群)」と「実際には治療を受けない偽治療グループ(コントロール群)」に分けられました。
試験の概要
* 平均年齢:約50歳
* 症状の持続期間:約2年
* 全員が従来の治療(ストレッチ、装具、注射など)では改善しなかった方々
治療の際は、超音波画像で正確に痛みの中心を特定し、1回の治療で約3800発の衝撃波が照射されました。
結果:3ヶ月後に痛みが半減以上
アクティブ群では、治療後3ヶ月の時点で56%の患者が痛みの強さ(朝起きて最初に歩くとき)を60%以上軽減できたと報告しました。12ヶ月後には、94%が「成功」と評価される結果を示しました。
Table 5:VASの長期推移
治療群では12か月後にVASが0.6まで改善し、91%の改善率。
コントロール群でも47%が改善しましたが、これはプラセボ効果(思い込みによる効果)や自然経過の可能性があると考えられています。
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【安全性と副作用:安心して受けられる治療か?】
新しい治療法を受けるにあたって、多くの方が気になるのは「安全性」や「副作用」ではないでしょうか。
この研究では、副作用として「治療中の痛み」「施術後数日の軽い痛み」などが報告されましたが、いずれも一過性で1週間以内に改善したと記されています。
重篤な副作用はなし
一人の患者で軽いしびれ(感覚異常)が長引いた例がありましたが、それ以外には重大なトラブルはありませんでした。
つまり、体外衝撃波治療は安全性が高く、安心して受けられる治療の一つであるといえます。
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【まとめ:足底腱膜炎に悩む方へ新しい選択肢を】
今回ご紹介した研究は、エビデンスレベルの高い「無作為化二重盲検比較試験」であり、科学的にも信頼できる内容です。
結論として、以下のような特徴があることがわかりました:
* 長年改善しない足底腱膜炎に対して有効
* メスを使わないため安全性が高い
* 治療後すぐに日常生活に復帰可能
* 1回の施術で効果が持続する可能性あり
足底腱膜炎で長期間悩んでいる方にとって、体外衝撃波治療は「手術以外の有望な選択肢」として非常に魅力的です。
治療を検討する際は、整形外科の専門医に相談し、ご自身に合った方法を選びましょう。
【引用論文】
Theodore GH, Buch M, Amendola A, et al. *Extracorporeal Shock Wave Therapy for the Treatment of Plantar Fasciitis.* Foot & Ankle International. 2004;25(5):290-297.
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