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ダイエット中の運動法、間違っていませんか?科学が示す最適解
【有酸素運動と筋トレ、どちらが体重と脂肪に効く?】
ダイエットのために運動を始めようと思ったとき、多くの人が「ジョギング」や「自転車」など、どの運動を選ぶべきか悩みますよね。
最新の研究では、「有酸素運動(ジョギングや自転車など)」と「筋力トレーニング(ウエイトトレーニングなど)」、さらにその両方を組み合わせた運動が、体重や脂肪量にどのような効果をもたらすのかが比較されました。
アメリカ・デューク大学の研究では、119人の肥満または過体重の男女を対象に、8か月間の運動プログラムを実施。有酸素運動(AT)、筋力トレーニング(RT)、その両方を組み合わせたプログラム(AT/RT)の3グループに分けました。
その結果、有酸素運動とAT/RTのグループでは体重と脂肪の減少が見られた一方、筋トレのみのグループでは逆に体重が微増するという結果に。これは筋肉量が増えたためと考えられています。
つまり、「体重や脂肪を減らしたい」なら有酸素運動が有効で、「筋肉を増やして体を引き締めたい」なら筋トレが効果的といえるでしょう。
【運動だけでもお腹まわりはスッキリする?女性を対象にした研究】
カナダのクイーンズ大学が行った別の研究では、肥満の女性54名を対象に「運動だけ」「食事制限だけ」「運動+体重維持」「何もしない(対照群)」の4つのグループに分けて、14週間の介入を行いました。
その結果、「体重が減らなくても、毎日の運動だけでお腹まわりの脂肪(特に内臓脂肪)が減る」ことが明らかになりました。特に、1日500kcal分の有酸素運動(約1時間の早歩きや軽い自転車こぎ)を続けた女性たちは、腹部脂肪や内臓脂肪が大きく減少しました。
さらに、「インスリン抵抗性」も改善。これは、糖尿病の予防や改善に直結する重要な健康指標です。
驚くことに、体重を減らさなくても、運動によって内臓脂肪が減り、健康状態が良くなるのです。
【結局どの運動がベスト?目的別に選びましょう】
以上の研究から見えてくるのは、「どの運動がベストか?」は目的によって変わる、ということです。
- 体重や脂肪を減らしたいなら...
有酸素運動(ジョギング・自転車・ウォーキングなど)を優先しましょう。1週間に150分程度が目安です。 - 筋肉をつけたい、見た目を引き締めたいなら...
筋力トレーニングが効果的です。週2〜3回、全身をバランスよく鍛えると良いでしょう。 - 両方やるのが理想だけど時間がない...
脂肪を減らすことを優先するなら、有酸素運動だけでも十分に効果があるといえます。
もちろん、体力や時間、好みによって無理なく続けられることが一番大切です。運動が続かないと意味がありません。
特に「時間がない」方にとっては、最も効果的に脂肪を減らせるのは「有酸素運動」だと覚えておきましょう。
【まとめ】
今回ご紹介した2本の研究から、以下のような結論が導かれます。
- 筋トレだけでは体重も脂肪も減りにくい(筋肉量は増える)
- 有酸素運動は脂肪減少に最も効果的
- 運動による健康効果(内臓脂肪やインスリン感受性の改善)は、体重が減らなくても得られる
つまり、「痩せたい」「健康になりたい」と思ったら、まずは有酸素運動を日常に取り入れるのがオススメです。
時間に余裕があれば、筋トレをプラスして筋肉量も維持できれば、さらに理想的な体づくりにつながるでしょう。
【参考文献】
- Willis LH, et al. Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults. J Appl Physiol. 2012;113:1831-1837. DOI:10.1152/japplphysiol.01370.2011
- Ross R, et al. Exercise‐Induced Reduction in Obesity and Insulin Resistance in Women: a Randomized Controlled Trial. Obes Res. 2004;12:789-798
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