成尾整形外科病院

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熊本そけいヘルニア整形外科クリニック

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コーヒーで筋トレ効果が上がる?カフェインの正しい使い方を医師が解説

 

カフェイン筋トレ.png


【本文】

【カフェインが筋トレに効くって本当?】

「コーヒーを飲んでから筋トレしたら、いつもより力が出た気がする」
そんな経験、ありませんか?
実はそれ、気のせいではありません

カフェインには、科学的に証明された「筋トレの効率を上げる効果」があります。
筋肉の出力、パワー、瞬発力、そして集中力まで向上させる、まさに"合法的なブースター"といえる存在です。

本記事では、カフェインが筋トレにもたらすメリットやその仕組み、安全な使い方まで、整形外科医の視点でわかりやすく解説します。


【なぜカフェインが筋力を高めるのか?】

カフェインは中枢神経に働きかけて、脳や筋肉の働きを活性化します。
具体的には次のようなメカニズムが知られています。

 

交感神経の活性化

   カフェインは「闘争・逃走反応」とも呼ばれる交感神経を刺激し、アドレナリンなどのホルモン分泌を促します。これにより、心拍数が上がり、血流が増加し、筋肉への酸素と栄養供給が活発になります。

 

の収縮効率の向上

   カフェインは筋肉細胞内でのカルシウムの放出を促進します。カルシウムは筋収縮の引き金となる物質で、これが多く出ることでより強く、素早く筋肉が収縮できるようになるのです。

 

筋肉の神経伝達を強化

   カフェインは神経と筋肉の間の信号のやりとりをスムーズにし、より効率的に力を発揮できるようにします。

 

コーヒー筋トレ.png

 

【筋トレ効果が数値で証明された】

 

最新のスポーツ栄養学の研究では、カフェインが次のような筋トレ効果をもたらすことが確認されました。

 競輪スプリント.png

脚の筋力(平均筋トルク)が最大で約11%向

瞬発力(筋パワー)は最大約14%アップ

ジャンプ力(垂直跳びの高さ)が約6%向上

これは、コーヒー1〜2杯分のカフェインを摂取した後に測定された結果です。

しかも、実験参加者の半数以上が明確にパフォーマンスの向上を示しました。

 

このように、カフェインは短時間で筋肉の力や瞬発力を高め、筋トレ効率をグッと引き上げることができるのです。

 

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【持久力や集中力にも効果あり】

 

カフェインの効果は筋力やパワーにとどまりません。筋トレ中の「集中力」や「やる気の持続」にも有効です。

 

疲労感を軽減

   カフェインは脳の疲労信号を抑える働きがあるため、「まだ頑張れる」と感じやすくなります。

 

集中力アップ

   脳の覚醒度を高め、筋トレ中のフォーム維持や正確な動作にも役立ちます。

 

痛みに対する耐性が上がる

   一部の研究では、筋肉痛や疲労感に対する耐性が高まることも示唆されています。

 

つまり、「あと1回」をやり切る力を引き出してくれるのがカフェインなのです。

 

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【カフェインの適切な摂取量とタイミング】

 

では、筋トレ前にカフェインを摂る場合、どれくらいの量が効果的なのでしょうか?

 

推奨摂取量:体重1kgあたり3〜6mg

   例えば、体重70kgの人であれば約210〜420mgです。

 

摂取タイミング:運動の30〜60分前

   体に吸収され、効果が現れるまでには少し時間がかかるため、筋トレ前に少し余裕を持って摂取しましょう。

 

カフェインの含有量(参考)

   | 飲料・食品 | カフェイン量(目安) |

   |-------------|------------------|

   | コーヒー1杯(150ml) | 約90mg |

   | エナジードリンク(250ml) | 約80〜100mg |

   | 緑茶1杯(150ml) | 約30mg |

   | チョコレート1枚(50g) | 約20mg |

 

なお、毎日高用量を摂取し続けると、効果が薄れる(耐性がつく)ことがあるため、トレーニングの負荷が高い日や試合前などに限定して摂るのがおすすめです。

 

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【注意点と副作用について】

 

カフェインは非常に効果的な成分ですが、取りすぎや体質によっては以下のような副作用が出ることがあります。

 

* 心拍数の上昇・動悸

* 胃の不快感・吐き気

* 不眠・神経過敏

* 不安感や集中力の低下(過量時)

 

特に以下の方は、カフェイン摂取に注意が必要です。

 

* 妊娠中・授乳中の方

* 心疾患や高血圧のある方

* カフェインに過敏な体質の方

* 不眠症のある方

 

一般的に、1日あたり400mgを超えないようにすれば安全とされています。

まずは100〜200mg程度の少量から試し、自分に合う量を見つけていくのが理想です。

 

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【こんな人におすすめ!カフェインの活用法】

 

以下のような方には、特にカフェインの筋トレ効果が期待できます。

 

* ウエイトトレーニングで記録更新を目指す人

* 短距離走やジャンプなど瞬発系競技の選手

* 疲れている日でも集中して筋トレしたい人

* 筋肉の出力やフォームを最大化したい人

 バンク走行.jpg

特に「今日は重量を上げたい」「フォームを意識したトレーニングをしたい」という日の30〜60分前にカフェインを取り入れると、パフォーマンスの底上げに役立ちます。

 

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【まとめ:カフェインは筋トレの強力な味方】

 

カフェインは、筋トレ効果を飛躍的に高めることができる、安全かつ効果的なサポート成分**です。

 

* 筋力や瞬発力がアップ

* 集中力が高まり「あと1回」がやり切れる

* 正しいタイミングと量で摂れば、副作用も少なく安心

 

ただし、効果には個人差があるため、まずは少量から始めて、自分の体との相性を確認することが大切です。

 

「今日は頑張りたい」「いつもより重い重量にチャレンジしたい」

そんな日の頼れるパートナーとして、カフェインをうまく活用してみてはいかがでしょうか?

 

【参考論文】

Teimouri-Korani H, Hemmatinafar M, Willems MET, Rezaei R, Imanian B. *Individual responses to encapsulated caffeine and caffeine chewing gum on strength and power in strength-trained males*. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2025;22(1):2495228.

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