成尾整形外科病院

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筋トレの成果を高める!ビートルートジュース(赤かぶ)×カフェインの組み合わせがすごい理由

ビートルジュース.png

【ビートルジュースとは?】

運動パフォーマンスを高めるためにサプリメントを取り入れる人は少なくありません。なかでも「カフェイン」と「ビートルートジュース(ビーツジュース)」は、それぞれ筋力や持久力をサポートする効果があるとして注目されています。

ところで、ビートルートジュースとはどんなものかご存知でしょうか?

ビートルートとは、日本では「テーブルビート」や「赤かぶ」に似た見た目をした根菜で、「ビーツ」とも呼ばれます。独特の赤紫色をしており、欧米ではサラダやスムージー、ジュースの材料として人気があります。このジュースには「硝酸塩(しょうさんえん)」という成分が豊富に含まれており、体内で一酸化窒素に変換されて血流を良くしたり、筋肉の働きをサポートしたりする作用があるのです。

しかし、これらを「同時に摂取」したときに、どのような効果があるのでしょうか?今回ご紹介する研究では、トレーニング経験のある男性を対象に、ビートルートジュースとカフェインの単独および併用摂取が筋力・パワー・持久力に与える影響を検証しています。


カフェインビートル筋トレ.png

【2. 持久力にはビートルートも効果あり!カフェインとの併用でさらなる向上】

ビートルートジュース(以下、BJ)は、赤紫色の根菜「ビーツ」から絞ったジュースで、血流を良くしたり筋肉への酸素供給を高める効果があるとされています。これは、BJに多く含まれる「硝酸塩(NO₃⁻)」という成分が体内で一酸化窒素となり、血管を広げる働きをするためです。

日本ではまだあまり一般的ではありませんが、欧米ではアスリートがトレーニングや試合前に摂取することが増えてきています。今回の研究でも、BJ単独摂取によって持久力テストでの繰り返し回数がプラセボより増加したことが確認されており、その効果が注目されています。


【1. 筋力・パワーアップにはカフェインが効果的】

研究では、被験者に4つの異なる条件(プラセボ、カフェイン、ビートルートジュース、カフェイン+ビートルート)で筋トレを行ってもらいました。

カフェインビートル図2.jpeg

Figure 2(バック・スクワットの筋力・パワー)
CAFは高負荷(75〜100%1RM)でVmeanおよびWmeanを有意に向上。BJおよびCAF+BJは同様の効果を示さなかった。VpeakやWpeakでは統計的差異はなかったが、負荷に対する反応はCAFが最も顕著。

カフェインスクワット効果.png

その結果、高負荷(75%、90%、100%の1RM)での下半身トレーニング(バックスクワット)において、カフェインを摂取したグループは動作のスピード(平均速度)とパワー(平均出力)が有意に向上しました。これはカフェインが神経系を刺激し、筋繊維の動員を促進することで、筋出力を高めたためと考えられます。

一方、上半身のベンチプレスでは、このような効果は確認されませんでした。つまり、カフェインの筋力向上効果は特に大きな筋肉を使う下半身トレーニングにおいて顕著であることが示されました。

ベンチプレスカフェイン効果なし.png


【2. 持久力にはビートルートも効果あり!カフェインとの併用でさらなる向上】

カフェインビートル図4.jpeg

Figure 4(バック・スクワットの筋持久力)
反復数、Vmean、WmeanすべてにおいてCAF、BJ、CAF+BJがプラセボに対し有意な向上を示した。特にCAF+BJ併用は出力面での効果が最も高く、相加的効果の可能性が示唆される。

 スクワットカフェインビートルこうk.png

次に、65%1RMの負荷で限界まで繰り返す持久力テスト(バックスクワット)を行った結果です。

なんと、カフェイン単独、ビートルート単独、両者併用のいずれのグループでも、プラセボよりも多くの回数をこなせただけでなく、動作の速度や出力も向上していました。

さらに興味深いのは、カフェインとビートルートを併用した場合、平均速度と平均出力が最も高くなったことです。このことから、両者を同時に摂取することで持久力において「相乗効果(サマティブ・エフェクト)」が得られる可能性が示されました。

なお、この効果も上半身(ベンチプレス)では確認されませんでした。


【3. 上半身には効果がない?種目による違いに注意】

この研究では、ベンチプレス(上半身)とバックスクワット(下半身)の2種目を対象に比較されましたが、ベンチプレスではカフェイン・ビートルートともに有意な効果は見られませんでした。

この理由としては、上半身の筋肉は下半身に比べて筋肉量が少なく、神経系の刺激や血流改善による恩恵を受けにくいことが考えられます。また、研究の中で行った運動の順序(ベンチプレスが先、スクワットが後)も影響している可能性があります。

それでも、疲労状態での下半身トレーニングにおいては、ビートルートの効果が顕著に表れたことは非常に注目に値します。


【まとめ】

筋力アップカフェイン効果.png

ビートルートジュースとカフェインを同時に摂取することで、特に下半身の持久力パフォーマンスに対して相乗効果がある可能性があることが明らかになりました。

持久力カフェインビートル効果.png

  • 筋力・パワーアップにはカフェインが効果的
  • 持久力アップにはカフェイン・ビートルートの両方が有効
  • 下半身での効果が顕著。上半身では限定的

これらのサプリメントは、運動の種類や目的に応じて使い分けることが大切です。また、摂取のタイミング(ビートルート:180分前、カフェイン:60分前)を守ることで、より高い効果が期待できます。

筋トレやスポーツのパフォーマンスを高めたい方にとって、今回の研究は非常に実用的な示唆を与えてくれます。ぜひ、目的に合わせて取り入れてみてください。


【引用文献】

Montalvo-Alonso, J. J., et al. (2025). Single and combined effect of beetroot juice and caffeine intake on muscular strength, power and endurance performance in resistance-trained males. Scientific Reports, 15, 16781. https://doi.org/10.1038/s41598-025-02021-y

 

 

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