元気になるオルソペディック ブログ
ヘルニコア(コンドリアーゼ)供給停止について
【重要なお知らせ】ヘルニコア治療がまもなく終了します
〜当院での治療実績と、患者さんへの影響〜
こんにちは。
腰椎椎間板ヘルニアの治療で多くの方にご利用いただいてきた「ヘルニコア(椎間板内酵素注入療法)」について、重大なお知らせがあります。
■ ヘルニコアとは?
ヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)は、腰椎椎間板ヘルニアに対して、注射1本で治療効果が期待できる画期的な薬剤です。手術を避けたい方にとって、「第3の選択肢」として2018年に保険適用され、多くの患者さんのQOLを改善してきました。
当院では2020年から積極的にこの治療を行い、334名の患者さんに治療を実施しました。(2024年3月末)
■ 当院での治療成績
当院の臨床研究によると、ヘルニコア治療の効果は以下のように明らかになりました:
- 翌日には60名(26.7%)が症状改善を実感
- 1か月後には118名(52.4%)
- **3か月後には152名(67.6%)が、脚の痛みの劇的な改善(NRSで3.5点以上の改善)を経験しました。
さらに、
- 重篤な副作用は報告されず、安全性にも優れた治療法です。
つまり、約3人に2人が手術を回避し、短期間で痛みから解放されていたのです。
■ 治療の終了が迫っています
しかしながら、2025年4月に製薬会社から供給停止が発表されました。
現在、当院に残されたヘルニコアの在庫はわずか「数本」です。
このため、
2025年6月以降、当院では事実上ヘルニコア治療ができなくなります。
■ 患者さんへの影響
ヘルニコアが使用できなくなることで、
- 手術以外の治療選択肢が減る
- 内服やブロックで改善しない患者さんが、痛みを抱えたまま過ごすリスクが高まる
- 高齢や持病などで手術を回避したい方にとって、代替手段がない
といった深刻な問題が起こります。
特に、椎間板ヘルニアの経過が6か月以内で脚の痛みが強い方は、ヘルニコアによる改善が見込めることが当院の研究でも明らかになっており、このような方が治療を受けられなくなることは、私たち医療者にとっても非常に心苦しい現実です。
今後、ヘルニコアの供給が再開され次第、ブログや外来でご案内いたします。
ご不便をおかけしますが、患者さんの利益を第一に考え、今できる最善の治療をご提案してまいります。
【引用】
- 1. Sakamoto Y, Naruo S, Ozaki T, Tahata S, Fujimoto T, Abe T.
Immediate Effects, Detailed Clinical Outcomes, and Prognostic Factors of Chemonucleolysis Using Condoliase for Lumbar Disc Herniation. Neurologia medico-chirurgica. Advance online publication, May 8, 2024. doi: 10.2176/jns-nmc.2024-0009
- 科研製薬株式会社、生化学工業株式会社:ヘルニコア椎間板注用1.25単位 製品供給に関するお詫びとご連絡.2025年4月発行
- 科研製薬株式会社、生化学工業株式会社:ヘルニコア椎間板注用1.25単位 自主回収(クラスⅡ)のお知らせ.2023年12月発行
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