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黄色靭帯骨化症はプロ野球選手の投手に多い！
黄色靭帯骨化症はプロ野球選手の投手に多い！
阪神タイガースの湯浅 京己投手（25）が福島県内の病院で「胸椎黄色靭帯骨化切除術」を受けたと8月25日発表されました。
阪神・湯浅が手術「胸椎黄色靭帯骨化症」とは...投手に症例、復帰できても完全復活には壁（スポニチアネックス） - Yahoo!ニュース
黄色靭帯骨化症は国の特定疾患に指定されている難病の１つです。脊柱管の後方の椎弓間にある黄色靭帯が骨化することにより脊髄、馬尾を圧迫することで神経症状を呈する疾患です。特定疾患になっている理由に発生機序の解明がまだわかっていないことがあげられます。胸椎に発生することが多く、脊髄の後方を圧迫しますので、脊髄後索症状を生じます。
初期には下肢のしびれやふらつきなど非特異的症状から診断が遅れることがあります。
脊髄症状を発症した場合には残念ながら保存療法で有効な治療がないため、手術療法を選択されます。
後縦靭帯骨化症（OPLL）や黄色靭帯骨化症（ＯＹＬ）はアジア人に多いことが統計的に知られております。通常、靭帯骨化は60歳から70歳代の高齢者に発症することが多いですが、プロ野球選手とくに投手に現役時代に発症し手術を受けるケースが報告されております。
Kaneyamaらは2例の20歳代の投手のOYLを報告しております。
高速投球をするためには、投手の体幹を高速回転させる必要があり、脊柱に大きな回転ストレスがかかる。胸腰椎移行部は自由に回旋できる唯一の部位であるため 、回転ストレスを避けることができず、椎間関節の肥大や OYLを引き起こす可能性があると報告してます。
加藤らも 右投げ投手では，投球動作のearlycocking期か らlatecocking期にかけて，下肢，股関節，骨盤， 腰椎，そして胸椎と，順に下から上に，左方向へ の回旋運動が連鎖する。すなわち，胸椎では下位 胸椎が先行して左に回旋するため，その上位胸椎 は相対的に右回旋となる。上位胸椎が下 位胸椎に対して右向きに回旋する際には，左の黄 色靱帯の椎間関節包部の付着部に伸張ストレス がより強くかかることが推察され黄色靭帯骨化症の発症要因ではないかと報告しております。
また加藤らはプロ野球選手は同年代の一般 男性と比較して，中程度以上の大きさの胸椎OLF の有病割合が高いと報告しております。
アスリートにおける黄色靭帯骨化症ー野球選手を中心にー
加藤 欽志ら 関節外科 Vol35 NO,5 2016より
初期の診断は難しいですが、脊髄レベルの障害であるため、下肢の腱反射亢進など上位ニューロン障害を示唆する所見や脊髄の後索障害が最初に出現しますので、まっすぐに継ぎ足し歩行ができるか確認するMann試験が診断に有用です。間違って、腰椎レベルを検査せずに胸椎レベルのＭＲＩ検査、ＣＴ検査をする必要があります。
湯浅選手も手術を受けられましたが、脊髄障害を発症した場合はには残念ながら手術での骨化靭帯切除による除圧術が適応となります。現在、リハビリを開始しているとのことです。順調にリハビリで回復して、来シーズンは活躍してくれるよう応援してます！！
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