元気になるオルソペディック ブログ
骨粗鬆症の鑑別疾患。その1骨軟化症(Ostomalasia)
骨粗鬆症とは骨が脆くなり、骨折のリスクが高くなる疾患です。骨が脆くなる病気は骨粗鬆症が最も多いですが、ほかにも骨が脆くなる疾患はもちろん多数あります。骨粗鬆症の診断は除外診断となりますので、ほかに骨が脆くなる疾患を否定して初めて骨粗鬆症と診断できます。
骨粗鬆症の治療と予防のガイドライン2015年版より
今回は、骨が脆くなる疾患の1つの骨軟化症についてです。
日本整形外科学会の定期雑誌の日整会後方ニュースの名物コラム、「関節鏡」からです。毎回示唆に富む内容で読むのを楽しみにしております。今回は二刀流との話題で、骨軟化症を取り上げておりました。骨軟化症も骨がもろくなり、疼痛や骨折を生じる疾患です。
病態としては、骨の石灰化障害により類骨(石灰化してない骨の前段階の骨器質)が増加する病気です。小児期にしょうじると「くる病」と言われます。
偶然にも、このコラムの前に30、40歳代の腰痛患者さんで、3名 骨軟化症と診断する機会がありました。一人の患者さんはここ、5年くらい夜勤勤務だけで、日中はほぼ寝ているという昼夜逆転をしていました。
レントゲンで腰椎は年齢とはかけ離れた骨棟梁像を認めました。(感覚的には70歳くらい)採血検査では25-水酸化ビタミンD[25(OH)D]は欠乏を認めました。骨を形成するカルシウムはビタミンDにより骨に吸収されるため、ビタミンDが欠乏するとカルシウムは吸収されず、石灰化される前の類骨が増殖する状態になります(骨軟化症)。不完全な骨である類骨は脆く骨折や痛みなどを生じます。昼夜逆転以外では、以前には若い患者さんで食事はカップ麺しか食べないとの偏食の患者さんもいました。(日光浴は大事で少なくとも15分は日光に浴びんましょう!)
1日15分以上の日光浴
ビタミンD欠乏性骨軟化症の診断に必須の血中25-水酸化ビタミンD[25(OH)D]濃度の測定が保険適用となり診断することは容易になってきております。骨軟化症の診断マニュアルも日本内分泌学会から提示されております。当院では骨粗鬆症専門外来がありますので、精査は専門外来にお願いしております。
整形「外科」はもちろん、外科医ですので、保存療法で治らない疾患に対しては手術療法を考えますが、内科的な治療に関しても精通し、保存療法で治る患者さんは保存療法が鉄則です。
整形外科は内科、外科の二刀流が必須です。骨、関節に関しての内科、外科の知識が必須です。大谷翔平選手のように両方の治療の知識のアップデートが必要で毎日が勉強と感じております。
腰痛、全身がいたいなどの症状があれば、一度整形外科専門医を受診されることをお勧めします。
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