元気になるオルソペディック ブログ
筋肉が減る食事?超加工食品とサルコペニアの意外な関係
【はじめに】サルコペニアとは?筋肉が減る"老化現象"
サルコペニアとは、年齢を重ねるにつれて筋肉量や筋力が低下していく状態を指します。
この状態が進むと、転倒しやすくなったり、生活の質(QOL)が大きく下がってしまいます。
特に65歳以上の高齢者に多く見られ、日本でも健康寿命の延伸を目指すうえで重要な課題です。
最近の研究では、「超加工食品」の多量摂取がサルコペニアのリスクを高めることが明らかになってきました。
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【超加工食品とは】身近に潜む"便利だけど危険な食品"
超加工食品とは、工業的に大量生産され、人工的な添加物や保存料、香料などを多く含む食品のことです。
代表的なものには以下のようなものがあります。
* インスタントラーメン
* スナック菓子
* 清涼飲料水
* 加工肉(ハム、ソーセージなど)
* 冷凍食品やレトルト食品
これらは手軽で美味しく感じるものの、たんぱく質やビタミン・ミネラルが不足しがちで、高エネルギー・高脂肪・高糖質**という特徴があります。
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【観点①:栄養不足】筋肉の材料が足りない!
筋肉を保つためには、たんぱく質、ビタミン(特にA、C、E、B群)、亜鉛、鉄、マグネシウムなどの栄養素が不可欠です。
しかし、超加工食品中心の食生活では、これらの栄養素が**著しく不足**します。
とくに高齢者は「食欲の低下」「歯の問題」「孤独」などの理由で、栄養が偏りがちです。
そこに超加工食品が加わると、筋肉を維持するための栄養素がさらに減り、サルコペニアが加速する恐れがあります。
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【観点②:肥満と炎症】脂肪はあっても筋肉が減る!?
超加工食品の多くは、高カロリー・高脂質・高糖質。
そのため、食べ過ぎると肥満につながります。
肥満が進むと、筋肉に脂肪がつく「サルコペニック・オベシティ(肥満性筋肉減少症)」という状態になりやすくなります。
また、添加物や精製糖質が多い食品は、体内で慢性的な炎症を引き起こします。
この炎症が筋肉を劣化させ、酸化ストレスやミトコンドリア機能の低下を通じて、サルコペニアを悪化させると考えられています。
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【観点③:フレイルとの関係】転倒や寝たきりのリスクが増加!
サルコペニアは、フレイル(虚弱状態)とも深く関係しています。
フレイルは、筋力だけでなく、体力・免疫力・認知機能など、さまざまな身体能力が弱くなった状態です。
ある研究では、**超加工食品の摂取量が多い高齢者ほど、フレイルになるリスクが高いことが明らかになっています。
フレイルになると、転倒や骨折、寝たきりになるリスクが一気に高まり、要介護状態へと進行してしまいます。
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【どうすれば良い?】今日からできる対策5選!
1. 食事の回数は減らさず、たんぱく質を毎回しっかり摂る
2. 野菜や果物、魚、大豆など"自然のままの食品"を中心に選ぶ
3. パッケージに「〜エキス」「〜風味」「香料」「乳化剤」などが多い食品は避ける
4. 調理済みの総菜や外食に頼りすぎず、自炊を取り入れる
5. 筋トレやウォーキングで筋肉を刺激する習慣をつける
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【まとめ】健康寿命を伸ばすカギは"自然な食事"
サルコペニアは、自然な老化現象ではありますが、食生活や生活習慣で予防・改善が可能な病態です。
その中でも、食事の質は特に重要で、超加工食品を控えることが有効な手段です。
高齢になっても元気に過ごすためには、「食べたものが自分の身体になる」という意識を持つことが大切です。
自然で栄養価の高い食品を選び、バランスよく食べることで、筋肉の健康を保ち、サルコペニアやフレイルを防ぎましょう。
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引用文献
* Parlak Baskurt, H., & Yardımcı, H. (2025). *Consumption of ultra-processed foods can accelerate age-related appearance of sarcopenia*. Biogerontology, 26:112. [https://doi.org/10.1007/s10522-025-10253-8](https://doi.org/10.1007/s10522-025-10253-8)
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