成尾整形外科病院

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整形外科医が教える関節にやさしいダイエット|無理なく痩せて腰痛・膝痛を予防!

 肥満で膝痛.png

 

整形外科専門医が教える!体に優しいダイエット法〜関節を守りながら健康的に痩せるコツ〜

 

ダイエットといえば食事制限やハードな運動を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし、膝や腰に不安がある方にとって、無理なダイエットは逆効果になることもあります。

 

整形外科医として、また脊椎外科医として、関節を守りながら健康的に痩せる方法をお伝えします。

この記事では、医学的根拠に基づいた「安全で効果的なダイエット法」を、3つの観点からご紹介します。

 

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【なぜ整形外科医がダイエットを勧めるのか?】

 

ダイエットと整形外科、一見関係がなさそうに感じるかもしれません。

ですが、実は体重と関節の痛みには深い関わりがあります。

 

体重が1kg増えると、膝には約3〜4kgの負担がかかるといわれています。

つまり、5kgの体重増加で、膝には15〜20kgもの余分な負担がかかるのです。

 

この負担が続くと、変形性膝関節症や腰痛の原因になる可能性が高まります。

実際、体重を減らすことでこれらの痛みが軽くなったという報告も多くあります。

 

例えば、アメリカの研究では、体重を10%減らしただけで膝の痛みが大きく改善したという結果が出ています(Felson et al., 1992)。

そのため、関節の健康を守るためにダイエットはとても重要なのです。

 

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【整形外科医が推奨する安全な運動ダイエットのステップ】

 

ダイエットに運動は欠かせませんが、関節に無理な負担をかけてしまっては本末転倒です。

ここでは、整形外科的に安全で効果のある運動を、ステップバイステップでご紹介します。

 

 ① 有酸素運動:脂肪を効率よく燃やす

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ウォーキング、スイミング、自転車(バイク)などの有酸素運動は、脂肪燃焼に効果的です。

特に水中運動は、膝や腰にかかる重さを減らすことができるため、高齢者や関節に不安がある方にも最適です。

 

やや息が弾む程度(話せるけれど歌えない程度)の強さで、週5日、1日30分程度を目安に行いましょう。

 

② 筋トレ:基礎代謝を上げて太りにくい体に

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筋肉量が増えると、基礎代謝(じっとしていても消費するエネルギー)が上がります。

そのため、リバウンドしにくく、痩せやすい体づくりができます。

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椅子スクワットや壁プッシュアップ、プランクなど、自宅でできる簡単な筋トレから始めましょう。

週2〜3回、無理のない範囲で続けることが大切です。

 

 ③ ストレッチ:けが予防とリカバリーに重要

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筋トレや有酸素運動のあとには、軽いストレッチを取り入れましょう。

特に太ももやふくらはぎ、背中の筋肉を伸ばすことで、血流がよくなり、疲れを翌日に持ち越しにくくなります。

 

1日5〜10分程度、寝る前や入浴後に行うのがおすすめです。

 

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【継続できる運動習慣と食事のコツ】

 

ダイエットの成功には、続けられることが何よりも大切です。

無理な目標ではなく、現実的で実行しやすい内容を選ぶことがポイントです。

 

 ① 痛みがある人は、まず"できる運動"から

 

関節に痛みがあるときは、運動を控えたくなるものです。

でも、全く動かさないと筋肉が衰え、かえって関節に負担がかかることもあります。

 

まずは、短時間のストレッチや水中ウォーキングなど、関節にやさしい運動から始めましょう。

ドローイン(お腹をへこませてキープする呼吸運動)も体幹を鍛えるのに効果的です。

 

② 運動と組み合わせて食事も見直す

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食事制限だけで痩せると、筋肉まで減ってしまい、リバウンドのリスクが高くなります。

運動を取り入れることで、筋肉を保ちつつ脂肪を効率よく減らすことができます。

 

例えば、1日の摂取カロリーを−500kcalに設定し、250kcalは運動、250kcalは食事調整で減らすイメージです。

糖質や脂質のとりすぎに気をつけ、たんぱく質をしっかり摂ることで、筋肉の維持がしやすくなります。

 

 ③ スケジュール例:1週間の運動プラン

 

| 曜日 | 内容                 |

| -- | ------------------ |

| 月  | ウォーキング30分+ストレッチ    |

| 火  | 自宅筋トレ(スクワット+体幹)20分 |

| 水  | バイクまたは水泳30分        |

| 木  | 休養日(ストレッチのみ)       |

| 金  | 筋トレ+ウォーキング20分ずつ    |

| 土  | 軽い有酸素運動+リラックス      |

| 日  | 休養日+体のケア           |

 

このように、運動の種類を変えることで飽きにくく、関節への負担も分散できます。

 

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【まとめ:関節を守りながら健康的に痩せるために】

 

整形外科医として、ダイエットは単に「体重を減らす」ことではなく、

「関節を守り、生活の質を高める」ための重要な手段だと考えています。

 

関節に優しい運動を習慣化し、筋力を保ちながら脂肪を落とすことで、

膝や腰の痛みが軽減し、動ける体を取り戻せるのです。

 

年齢や体の状態に応じて、無理のない範囲で始めてみましょう。

そして、気になる痛みがある場合は、必ず整形外科を受診してご相談ください。

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【引用文献】

 

1. Felson DT et al. "Weight Loss Reduces the Risk for Symptomatic Knee Osteoarthritis in Women." *Ann Intern Med*. 1992;116(7):535-539.

2. Ross R et al. "Exercise-induced weight loss is associated with improvements in cardiovascular disease risk factors." *Obesity Reviews*, 2020.

3. Willis LH et al. "Combined aerobic and resistance training improves health." *J Appl Physiol*, 2012.

4. Johnston BC et al. "Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults." *Obesity*, 2014.

5. American College of Sports Medicine Position Stand, 2011.

 

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