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子どもの運動能力はどう伸ばす?外遊びと複数スポーツの意外な効果とは?
【外遊びと運動能力の関係:子どもにとっての大切な時間】
近年、子どもの身体活動の減少が問題視されています。特にスマートフォンやゲームなどの室内遊びが増える中で、外遊びの時間が減少している傾向があります。
今回紹介するフィンランドの研究では、3~8歳の子どもたちが日常的にどれだけ外で遊び、またどのようにスポーツに参加していたかが、3年後の運動能力にどう影響したかを詳しく調べました。
研究によれば、平日に30分~60分程度の外遊びをしていた女の子は、「跳びはね」や「ボールを投げる・つく」といった運動能力が顕著に高くなる傾向が見られました。特に運動神経の一つである「バランス能力」や「道具を使った運動技能」が向上していたのです。
男の子では外遊びと運動能力の関連は明確には見られませんでしたが、これは男の子の方がもともと外で過ごす時間が多かったことが影響している可能性があります。
【複数スポーツに参加する子ほど運動能力が高い】
この研究のもうひとつの大きな発見は、「複数のスポーツに参加している子どもほど、運動能力が高い」という点です。
子どもが複数のスポーツ、たとえばサッカーと水泳、あるいはダンスと体操などを掛け持ちしている場合、その子どもは3年後にバランス感覚やボール操作、ジャンプなど多様な運動技能で優れた結果を示していました。
一方、1つのスポーツだけに参加していた子どもは、非参加の子どもと比べて一部の能力で向上は見られましたが、特に大きな差があったのは「複数スポーツ」に取り組んでいた子どもたちです。
複数の運動を経験することで、体の様々な使い方を学ぶことができ、これが全体的な運動能力の発達に繋がると考えられます。
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【男の子と女の子の違いと、今後の子育てへのヒント】
本研究では、男女間の運動能力に違いがあることも示されました。たとえば女の子は「走る・跳ぶ」などの基本動作(ロコモーションスキル)で高い得点を示す一方で、男の子は「ボールを投げる・つく」などの道具を使った動作(オブジェクトコントロールスキル)に強みを持っていました。
さらに、女の子においては「外で遊ぶ時間」が運動能力の発達に明確な効果を示したのに対し、男の子ではその傾向が弱かったのも特徴的です。
これは、男の子がすでに十分に外での活動をしていたことや、女の子が環境により敏感に反応することが背景にあると考えられています。
この結果から導き出せる育児のヒントとしては、特に女の子に対しては意識的に外遊びの機会を増やすこと、そして男の子・女の子問わず、できるだけ複数のスポーツに触れさせることが運動能力の発達に役立つということです。
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【まとめ:遊びとスポーツが「運動神経の土台」を作る】
この研究を通じて明らかになったのは、「外遊び」と「スポーツへの参加」がそれぞれ独立して、子どもの運動能力を高めるということです。つまり、両方を必ず同時に行う必要はありません。
とはいえ、どちらか一方を意識して日常生活に取り入れるだけでも、子どもの将来の体力や運動能力に良い影響があると期待できます。
また、このような基礎的な運動能力は、学童期や思春期になってからのスポーツ活動や健康的なライフスタイルに大きく関わってくることも忘れてはいけません。
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【記事のポイントまとめ】
* 平日の外遊び30~60分が、女の子の運動能力向上に効果的
* 複数のスポーツに取り組むことで、全体的な運動能力が高まる
* 男の子と女の子で、発達する運動能力の種類に違いがある
* 外遊びとスポーツは「両方やらなければダメ」ではないが、どちらも重要
* 保護者や指導者は、子どもに多様な運動体験を提供することが大切
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【引用文献】
Luukkainen, N.-M., Laukkanen, A., Niemistö, D., & Sääkslahti, A. (2025). Children's outdoor time and multisport participation predict motor competence three years later. *Journal of Sports Sciences*, 43(5), 431-439.
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