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水中エクササイズの驚くべきダイエット効果とは?体脂肪・ウエストを減らすには何週間必要?

【水中歩行の驚くべき減量効果とは?】

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運動によるダイエットが良いとわかっていても、膝や腰への負担が気になってなかなか続けられない...。そんな方におすすめなのが「水中歩行」です。

今回紹介するのは、2025年にBMJ Openに掲載された最新の研究論文に基づく、水中歩行(水中エアロビクス)が肥満や過体重の方に与える体型改善効果についてのまとめです。この研究は過去の10本の臨床試験を統合した「メタアナリシス(統合解析)」で、信頼性の高い内容になっています。

研究の結果、水中運動を10週間以上続けた場合に、体重とウエスト周囲径(お腹周り)の明確な減少が確認されました。

【なぜ水中歩行がダイエットに効くのか?】

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水中歩行とは、水の中を歩く運動やアクアビクス、アクアズンバ、アクアジョギングなどを含む、全身を使った有酸素運動の一種です。

水の中では浮力が働くため、関節や骨への負担が少なく、膝や腰に痛みを抱える人でも安心して運動できます。また、水の抵抗があるため、陸上よりも少ない動きで多くの筋肉を使えるという利点もあります。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)も、肥満のある人には水中運動を推奨しており、その安全性と持続のしやすさが大きなメリットです。

【研究結果からわかった効果と限界】

◎ 水中運動が有意に改善した指標

  • 体重(Body Weight):約2.69kgの減少
  • ウエスト周囲径(Waist Circumference):約2.75cmの減少

特に女性45歳以上の中高年層では、より大きな効果が見られました。また、運動期間が10週間を超えるとより効果的であることも示されました。

△ 効果が限定的だった指標

  • 体脂肪率(Percent Body Fat)
  • BMI(体格指数)
  • 筋肉量(Lean Mass)
  • 脂肪量(Fat Mass)
  • 腰臀比(ウエストとヒップの比率)
  • ヒップ周囲径(Hip Circumference)

これらの指標に関しては、統計的に有意な変化は確認されませんでした。その理由としては、試験期間が短い、参加者が少ない、男女比に偏りがあるなど、研究の限界が挙げられます。

【効果を高めるために知っておきたいポイント】

◆ 継続期間は「10週間以上」がカギ

6〜8週間程度の短期間では、効果が明確に現れない可能性があります。最低でも10〜12週間の継続が重要です。

◆ 特に効果が高いのは「女性」と「中高年」

女性はホルモンの影響で脂肪がつきやすい反面、規則的な運動による変化が出やすいとも言われています。また、中高年層では水中運動によって膝や腰の負担が軽減されるため、長く続けられるという利点もあります。

◆ 週3回・1回60分が理想

調査された水中運動のほとんどが週3回、1回60分という頻度で実施されていました。無理のない範囲で、まずは週2回からでも良いので、継続を意識しましょう。


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【まとめ:水中歩行は安心・安全なダイエット法】

水中歩行は、運動初心者や関節に不安を抱える方にとって、無理なく続けられて、しっかりと効果が期待できるダイエット方法です。

特に体重とウエスト周囲径の減少にははっきりとした効果があることが、今回の研究から明らかになりました。膝や腰を痛める心配が少ないため、安心して継続できる運動として非常に有用です。

さらに、女性や中高年の方にとっては、より大きなメリットがあることも分かっています。水中での運動は身体への負担が少ない分、長期的に取り組むことができ、それが結果として良い変化をもたらします。

ただし、体脂肪率や筋肉量などの細かい体組成については、今のところ明確な効果が確認されておらず、今後のさらなる研究が待たれるところです。

これからダイエットを始めたい方や、陸上での運動が難しい方には、水中歩行という選択肢をぜひ検討してみてください。


【参考文献】

Ding Z, Gao Z, Zhou H, et al. Effects of water aerobics on body composition in obesity and overweight people: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2025;15:e091743. doi:10.1136/bmjopen-2024-091743

 

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