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慢性腰痛には運動習慣が効く?痛みを減らす"続ける力"の重要性とは?
【はじめに】
「長年、腰の痛みに悩んでいるけれど、何をしても良くならない」
そんな方は少なくありません。実は、慢性腰痛の多くは「原因不明」とされることが多く、治療法も一つに決めきれないのが現状です。
ところが、最近の研究で"ある行動"が痛みの改善に大きく関係していることがわかってきました。それが「運動を続けること=運動の継続(アドヒアランス)」です。
今回は、オーストラリアやイギリス、カナダの研究者たちによって行われた、慢性腰痛と運動継続の関係を調べた大規模な研究をもとに、分かりやすくご紹介します。
【運動は腰痛に効く!でも"続ける"ことがカギ】
運動療法は、慢性腰痛に対して効果があることが多くの研究で明らかになっています。ウォーキングやストレッチ、筋トレ、ヨガ、ピラティスなど、種類はさまざまです。
ただし、今回の研究で特に注目されたのは「どんな運動をするか」ではなく「どれだけ継続して行えたか(アドヒアランス)」です。
◆アドヒアランスとは?
アドヒアランスとは「医療者の指導にどれだけ従って実行できたか」という意味で、運動療法では「何回運動を行ったか」「決められた頻度を守れたか」で評価されます。
【高い運動継続率は痛みの改善につながる】
この研究では、世界中の46件の臨床試験(4,200人以上の患者データ)を解析しました。その結果、「運動を継続できた人ほど、痛みや動きの制限が改善していた」ことが明らかになりました。
具体的には、
- 継続率80〜100%(高アドヒアランス):痛みが平均で14ポイント(100点満点中)減少、機能制限も8ポイント改善
- 継続率59%未満(低アドヒアランス):痛みは5ポイント減少、機能制限は4ポイント改善
つまり、たとえ少しでも運動をすれば効果はあるけれど、「しっかり続ける」ことでより大きな改善が期待できるのです。
【なぜ運動を続けるのは難しい?続けるための工夫】
研究では「運動が続かない理由」も明らかになっています。
◆続けられない主な理由
- 忙しくて時間がとれない
- 痛みが悪化するのではと不安
- 家で一人だとやる気が出ない
- 面倒くさく感じる
一方で、続けられる人にはこんな特徴がありました。
◆続けられる人の特徴
- 以前から運動の習慣がある
- 周囲のサポートがある(家族や仲間)
- 運動の効果を実感している
- 自分に合った運動方法を見つけている
医療者との信頼関係や、個別に合わせたプログラムがあると「やる気が出る」「信じて取り組める」といった心理的な後押しも大きな要因となります。
【運動を継続するための4つのポイント】
それでは、実際にどうすれば運動を続けられるのでしょうか?以下のような工夫が効果的です。
1. スケジュールに組み込む
日常の中に「この時間は運動」と決めておくと習慣になりやすくなります。
2. 記録をつける
「今日は◯分歩けた」「5回ストレッチした」など、日記やアプリで記録をつけることでモチベーション維持につながります。
3. 他人と一緒に行う
グループでの運動や、友人・家族と一緒にやることで継続しやすくなります。
4. 自分に合った運動を選ぶ
無理のない運動を、医師や理学療法士と相談して決めましょう。「やらされている感」があると長続きしません。
【まとめ|腰痛には「運動」と「継続」が効く】
慢性腰痛に悩む方にとって、運動は非常に有効な治療法の一つです。特に、「継続して取り組む」ことが、痛みや日常生活の制限を改善するカギであることが、今回の研究で明らかになりました。
もちろん、いきなり完璧に続けるのは難しいかもしれません。しかし、「少しずつでも続ける」ことが大切です。そして、自分に合った方法を見つけて、無理なく続けていくことが成功のポイントです。
痛みに負けず、前向きに取り組むことで、きっと未来の生活は変わっていきます。
【参考論文】
Jones MD, Hansford HJ, Bastianon A, Gibbs MT, Gilanyi YL, Foster NE, Dean SG, Ogilvie R, Hayden JA, Wood L.
**Exercise adherence is associated with improvements in pain intensity and functional limitations in adults with chronic non-specific low back pain: a secondary analysis of a Cochrane review.**
*Journal of Physiotherapy.* 2025. https://doi.org/10.1016/j.jphys.2025.03.004
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