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リバウンドの真実:なぜ痩せた体は元に戻るのか?最新研究で明らかに
【なぜ痩せた体は元に戻るのか?リバウンドのメカニズムとは】
ダイエットに成功した後、体重が元に戻ってしまう「リバウンド」。実は、この現象は食事や運動だけでなく、体の中で起きている生理的な変化が大きく関わっていることが、最新の研究でわかってきました。
2025年に発表された最新のレビュー論文では、リバウンドが起きる原因を「免疫の記憶」「腸内細菌の変化」「筋肉量の減少」「脳とホルモンの働き」の4つの観点から詳しく分析しています。
まず重要なのは、リバウンドはダイエット方法に関係なく起きるということ。食事制限でも、運動でも、GLP-1などの薬でも、はたまた手術で痩せた場合でも、体は再び太ろうとする傾向があります。つまり「痩せた後の体」は、以前の"太りやすい状態"に戻ろうとする力が働くのです。
【免疫の記憶が太りやすさを作る?「肥満メモリー」とは】
太ると脂肪組織(皮下脂肪や内臓脂肪)に集まる免疫細胞が増え、炎症が慢性化します。これ自体が太りやすい体質を作りますが、驚くことに痩せた後もこの「炎症記憶」が残ることが明らかになっています。
たとえばマウスの研究では、痩せた後も一部の免疫細胞が太ったときの状態を記憶し、再び太りやすい状態に戻す働きをしていました。これが「肥満メモリー」と呼ばれる現象です。
一方で、リバウンドを防ぐ働きをする免疫細胞も存在します。CD7というタンパク質を持つ免疫細胞は、体温を上げる"褐色脂肪細胞"を活性化し、再び太るのを防いでくれるのです。この細胞が多い人ほどリバウンドが少ない傾向にあります。
【腸内環境のカギを握るのは「自分のウンチ」!?驚きの研究結果】
腸内細菌、いわゆる「腸内フローラ」は、私たちの体重にも大きな影響を与えます。最新の研究では、ダイエットに成功したときの自分の便(うんち)を冷凍保存し、それを数カ月後に自分自身に戻す「自家糞便移植(aFMT)」が、リバウンドを防ぐ効果を持つことが示されました。
特に植物ベースの地中海食(たとえば緑茶やマメ科植物など)で痩せた人は、その腸内細菌が特にリバウンド防止に役立つようです。
これは「痩せている時の腸内細菌のバランスを保つこと」が、体重の維持に効果的であることを示しています。
【筋肉が減ると太りやすくなる?リバウンドと基礎代謝の関係】
ダイエットで失われるのは脂肪だけではありません。筋肉=除脂肪体重も一緒に減ってしまうことが多く、これがリバウンドの一因とされています。
筋肉はエネルギーをたくさん消費するため、筋肉が減ると「基礎代謝」も下がります。つまり、同じ量を食べても太りやすくなってしまうのです。
さらに、筋肉量が減ると「グレリン」などの食欲を刺激するホルモンが増える傾向があり、自然と食べる量が増えてしまうという悪循環にもつながります。
筋肉の減少を防ぐには、食事だけでなく運動、特に筋トレが重要です。最新の肥満治療薬では、筋肉の減少を抑える効果があるものも登場しており、今後の展開が期待されています。
【食欲ホルモンと脳の変化がリバウンドを誘う】
体重が減ると、脳の中の「視床下部(ししょうかぶ)」という場所の働きが変わり、食欲が強まりやすくなることが研究で分かっています。
特に注目されているのが「ニューロテンシン」というホルモン。このホルモンは食欲を抑える働きがありますが、痩せた後に減少することがわかっています。
さらに、ある研究では、食事後にニューロテンシンの分泌が多い人の方がリバウンドしにくい傾向にあることも示されています。つまり、ホルモンの反応の仕方にも個人差があるのです。
【まとめ:痩せた後が本当のスタート!"リバウンドしない体"を目指そう】
ダイエットはゴールではなく、新たなスタート地点です。痩せた体を維持するには、次のような対策がカギになります。
- 筋肉を維持する運動(特に筋トレ)
- 腸内環境を整える食生活(植物ベース・発酵食品)
- 体内の"痩せる免疫細胞"を育てる生活習慣
そして、今後は「自分に合ったリバウンド対策」を見つける時代が来るかもしれません。
体重を減らすことと同じくらい、「体重を維持すること」も大切です。長期的な視点で、自分の体と向き合っていきましょう。
【参考文献】
van Baak MA, Mariman ECM. Physiology of Weight Regain after Weight Loss: Latest Insights. Current Obesity Reports. 2025;14:28. https://doi.org/10.1007/s13679-025-00619-x
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