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腰椎椎間板ヘルニア治療:ヘルニコア注射と内視鏡手術MEDの違いとは?
腰椎椎間板ヘルニア治療の選択肢:ヘルニコア注射と内視鏡手術MEDの比較と年齢別効果
腰や脚の痛みの原因としてよく知られている「腰椎椎間板ヘルニア」。この病気に対する治療法として、近年注目されているのが「ヘルニコア(condoliase)注射」と「内視鏡下椎間板摘出術(MED)」です。
この記事では、それぞれの治療法の特徴と効果、さらに年齢ごとの違いについて、最新の研究結果をもとに詳しくご紹介します。
【治療法の特徴:ヘルニコア注射とMEDの基本情報】
ヘルニコアは、「化学的髄核融解術(chemonucleolysis)」という方法で、椎間板の中心にある柔らかい部分(髄核)を溶かして小さくし、神経の圧迫を和らげる注射治療です。日本では2018年に承認され、比較的新しい選択肢として注目されています。
一方、MEDは「内視鏡下椎間板摘出術(microendoscopic discectomy)」の略で、小さな切開で内視鏡を使ってヘルニアを直接取り除く手術です。従来の石灰手術よりも体への負担が少ない「低侵襲手術(minimally invasive surgery)」として広く行われています。
ヘルニコアのメリット・デメリット
メリット
- 注射のみで治療可能
- 入院不要 or 短期間で済む
- 比較的安価
- 高齢者にも対応しやすい
デメリット
- 効果発現に時間がかかる(通常は3ヶ月様子を見る)
- 約10%の患者で効果が不十分
- 椎間板の高さや質が低下する可能性
MEDのメリット・デメリット
メリット
- ヘルニアを直接除去でき、即効性あり
- 重度の症状にも対応可能
デメリット
- 手術のため入院や麻酔が必要
- 医療費が比較的高い
- 手術合併症(硬膜損傷や血腫)のリスクあり
このように、それぞれに強みと弱点があるため、患者さんの状態や希望に応じた治療選択が大切です。
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【治療効果と副作用:1年間の臨床成績と安全性の比較】
研究では、日本全国10施設で行われた345人の患者さん(ヘルニコア:233人、MED:112人)を対象に、治療効果や副作用について1年間追跡調査が行われました。
治療効果はほぼ同等
脚の痛み(坐骨神経痛)の改善が50%以上あり、追加手術を必要としなかった患者の割合は、
- ヘルニコア:74.4%
- MED:74.6%
この結果から、両治療法の効果はほぼ同等であることが分かりました。
副作用と再手術率
- ヘルニコアでは、9.9%の患者が追加手術**を受けました(効果不十分)。
- MEDでは、4.5%の患者が再手術を受けました(再発による)。
副作用については以下のような報告がありました。
- ヘルニコア:軽度の腰痛、脚の痛み、皮膚発疹などが数%に見られましたが、重篤な副作用はなし。
- MED:硬膜損傷(3.6%)や血腫(2.7%)が報告されています。
つまり、ヘルニコアは安全性が高く、MEDはやや侵襲的ながら即効性に優れるという特性があります
【年齢別の比較と選び方:若年者・中年・高齢者で違いはあるか?】
この研究では、年齢によって治療効果や副作用が変わるかどうかを4つの年齢層(20歳未満、20~39歳、40~59歳、60歳以上)に分けて比較しました。
有効率はどの年齢でも同じ
- どの年齢層でも**有効率は約70〜80%で差がないことが分かりました。
- 特に高齢者(60歳以上)でも、ヘルニコアもMEDも十分な効果が期待できるというのは大きな安心材料です。
若年者に注意すべき点
20歳未満の患者では、ヘルニコア後に椎間板の変性(劣化)が一時的に進行しやすい傾向が見られました。しかし、その後の回復力も高く、1年後には**一部で回復する例もありました。
これは、若い人の再生能力の高さが影響していると考えられます。ただし、骨の成長がまだ終わっていない場合もあるため、慎重な適応が必要です。
高齢者はどうか?
60歳以上の患者でも、ヘルニコアによる椎間板の高さ低下や変性は確認されましたが、治療効果そのものには大きな影響はないことが分かりました。
すでに椎間板の変性が進んでいることが多く、治療の選択は慎重に行う必要がありますが、有効な選択肢であることは間違いありません。
まとめ:治療選択のポイント
| 比較項目 | ヘルニコア | MED |
治療法の選択においては、「即効性を求めるのか」「安全性を重視するのか」が大きなポイントになります。
また、若年者や高齢者でも効果があることが明らかになっているため、医師としっかり相談し、自分のライフスタイルや希望に合った方法を選ぶことが大切です。
引用文献
Banno T, Takahashi T, Fujii S, et al. Age-specific Comparative Clinical Outcomes of Chemonucleolysis with Condoliase versus Microendoscopic Discectomy in Patients with Lumbar Disc Herniation. *Spine Surg Relat Res*. 2025;9(2):251-257. doi:10.22603/ssrr.2024-0201
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