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腰椎椎間板ヘルニアの手術後再発率は?最新研究が明かす5年後のリスクと予防策
【椎間板ヘルニア手術の再発率は?5年後のリスクと予防策】
近年、腰椎椎間板ヘルニアの手術を受ける患者が増えています。しかし、一度の手術で完治するとは限らず、残念ながら再手術が必要になるケースも少なくありません。本記事では、最新の研究データをもとに、手術後の再発率やリスク要因、再発を防ぐためのポイントを解説します。
【手術後5年以内の再発率は14.4%】
米国の大規模研究によると、腰椎椎間板ヘルニアの手術(単一レベルの椎間板ヘルニア摘出術)を受けた患者のうち、5年以内に再手術が必要になった割合は14.4%でした。また、一度目の手術後に再発し、再手術(を受けた患者のうち、さらに5年以内に再々手術を受けた割合は18.2%と、最初の再発手術よりも高い結果となっています。
特に、手術後1年以内の再発リスクが最も高く、時間の経過とともにそのリスクは減少する傾向にあることが分かりました。これは、手術による組織の回復が進むにつれ、再発の可能性が下がるためと考えられます。
【再発のリスク要因とは?】
再発リスクを高める要因として、以下の点が挙げられています。
- 肥満:体重が重いと腰椎への負担が増え、再発しやすくなります。研究によると、肥満の患者は通常の体重の患者よりも12%高い確率で再手術が必要になることが示されています。
- 合併症の多い患者:高血圧や糖尿病などの慢性疾患を持つ患者(Elixhauser Comorbidity Indexが高い患者)は、再発リスクが高まることが分かっています。
- 年齢:意外なことに、高齢者の方が再発率は低く、若い患者のほうが再手術を受ける可能性が高いという結果が出ています。
- 性別:男性よりも女性のほうがやや再発率が高い傾向がありました。
【再発を防ぐためのポイント】
では、どうすれば再発のリスクを減らせるのでしょうか?
1. 適切な体重管理をする
肥満は腰椎への負担を増やし、再発リスクを高めます。適度な運動とバランスの良い食事を心がけましょう。
2. 姿勢に気をつける
腰への負担を減らすため、座り方や立ち方に注意し、長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。
3. リハビリを継続する
手術後のリハビリを怠ると、筋力の低下や腰椎の安定性が損なわれ、再発しやすくなります。医師や理学療法士の指導のもと、適切な運動を続けましょう。
4. 禁煙する
喫煙は血流を悪化させ、腰椎の回復を妨げる要因になります。禁煙することで再発リスクを下げることができます。
5. 無理な動作を避ける
重いものを持ち上げたり、急な動きをすると、腰に負担がかかり再発しやすくなります。日常生活の中で慎重に動作することが大切です。
【まとめ】
腰椎椎間板ヘルニアの手術は、高い成功率を誇りますが、再発のリスクも無視できません。5年以内の再手術率は14.4%、再手術後の再発率は18.2%と、決して低くはない数値です。
しかし、適切な体重管理や姿勢の改善、リハビリの継続などを心がけることで、再発のリスクを抑えることが可能です。腰の健康を守るために、ぜひ日頃の生活習慣を見直してみてください。
【参考文献】 Etigunta SK, Liu AM, Gausper A, et al. Long-Term Reoperation Rates After Single-Level Lumbar Discectomy: A Nationwide Cohort Study. Spine. 2025.
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