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プロ投手の肘手術から学ぶ! 野球少年が実践すべきケガ予防とトレーニング法
プロ投手の肘手術から学ぶ! 野球少年が実践すべきケガ予防とトレーニング法
【プロ野球選手の肘手術「再建術」の現状とは? 野球少年が知っておくべき肘のケア】
近年、プロ野球選手の肘の手術である内側側副靭帯(MUCL)再建術が増えています。特に、手術を一度受けた選手が再び手術を受ける「再手術(リビジョン)」のケースも増加傾向にあります。今回の研究では、2010年から2023年にかけて、プロ野球の投手が受けた再手術の傾向や結果が分析されました。
【再手術を受ける投手は増えている】
この研究では、191人のプロ野球投手(平均年齢26歳)がMUCL再建術を受けたことが明らかになりました。特に、マイナーリーグの投手が全体の約68%(130人)を占めており、多くの若手選手がこの手術を経験していることが分かります。
また、初回手術から再手術までの平均期間は約3年9か月(45か月)であり、一度手術を受けた投手が比較的短期間で再手術を必要とするケースが多いことが示唆されました。これは、投手の負担が非常に大きいことを物語っています。
【再手術後の復帰率は58%】
この研究で最も注目すべき点は、再手術を受けた投手のスポーツ復帰率です。手術後、どのレベルでも復帰できた選手は72%でしたが、元のレベルでプレーできたのはわずか58%でした。
また、復帰までの平均期間は18〜20か月と長く、手術を受けても元のパフォーマンスを取り戻すまでには相当な時間がかかることが分かります。これにより、手術後のリハビリやトレーニングの重要性が改めて強調されます。
【肘のけがを防ぐためにできること】
野球をしている中学生や高校生にとって、肘のケガを防ぐことはとても重要です。プロ野球の選手ですら再手術が必要になることがあるため、若い選手のうちからしっかりと予防策を講じる必要があります。
- 投球数を管理する
- 投げすぎは肘に大きな負担をかけます。1日の投球数や登板間隔をしっかり守りましょう。
- 正しいフォームを身につける
- 無理なフォームで投げると、肘に過度な負担がかかります。指導者と相談しながら、効率の良い投げ方を習得しましょう。
- ストレッチと筋力トレーニングを行う
- 肘だけでなく、肩や体幹の筋肉を鍛えることで、負担を分散させることができます。毎日のストレッチとトレーニングを習慣にしましょう。
- 痛みを感じたらすぐに休む
- 「少し痛いけど大丈夫」と無理をすると、取り返しのつかないケガにつながることがあります。痛みを感じたら、すぐに休んで医師に相談しましょう。
【まとめ】
今回の研究から、MUCL再建術の再手術は投手にとって大きな試練であり、復帰率や復帰までの時間を考慮すると、手術は慎重に検討すべきであることが分かります。手術を成功させるためには、経験豊富な医師が手術を担当し、適切なリハビリ計画を立てることが重要です。
野球をしている中学生や高校生のみなさんも、日ごろから肘のケアを意識し、無理のないプレーを心がけましょう。適切なトレーニングと休息を取り入れることで、長く野球を楽しむことができます。
参考文献 Erickson BJ, Camp CL, Chalmers PN, et al. Outcomes of Revision Elbow Medial Ulnar Collateral Ligament Reconstruction in Professional Baseball Players: An Analysis of 191 Pitchers From 2010 to 2023. Am J Sports Med. 2025 Mar 4:3635465251322780. doi: 10.1177/03635465251322780.
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