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肩の痛みを未然に防ぐ!野球選手必見のエコー検査とストレッチ法
【野球肩とエコー検査:投球障害を防ぐ最新の知見】
はじめに
野球をプレーする中で、肩の痛みを感じることは珍しくありません。特に「野球肩」と呼ばれる状態は、投球動作の繰り返しによって肩関節に負担がかかることが原因です。最新の研究では、超音波検査「シェアウェーブエラストグラフィ(SWE)」を用いて、肩の柔軟性を数値化し、ケガのリスクを事前に把握する方法が注目されています。
【野球肩と内旋制限:GIRDとは?】
野球肩の原因の一つに「肩関節内旋制限(GIRD)」があります。これは、投球肩の内側への回旋(ひねり)の可動域が反対側の肩より20度以上少ない状態を指します。
◇ GIRDの原因
- 投球動作の繰り返し:肩の後方関節包が硬くなる
- 不十分なストレッチ:柔軟性を保つケア不足
- 肩甲骨の動きの制限:肩関節に過度な負担がかかる
GIRDを放置すると、肩の腱板損傷や関節唇損傷などの重篤なケガにつながることがあります。
【SWEによる肩関節の硬さ測定】
SWEは、超音波を使って肩後方関節包の硬さを測定する技術です。硬い組織ほど超音波の振動が速く伝わる特性を利用します。
◇ SWEでわかること
- 硬さの数値化:硬いほどシェアウェーブ速度が速い
- 異常の基準値:
- 投球肩の速度4.81m/s以上
- 左右差0.77m/s以上
これらの数値を超えると、GIRDによるケガのリスクが高いことが示唆されます。
【ケガ予防のための対策とエコー検査の役割】
GIRDを予防するには、日常的なストレッチと定期的なエコー検査が有効です。
◇ 効果的なストレッチ
- クロスボディストレッチ:肩を横に引き寄せる動き
- スリーパーズストレッチ:横向きに寝て腕を内側に押す動き
- 肩甲骨周囲の筋力強化:安定性を向上させる
◇ エコー検査の重要性
SWEは非侵襲的で簡便な検査方法です。シーズン前の健康チェックやケガのリスク評価に役立ちます。異常が早期に発見されれば、リハビリやトレーニングを行い、重篤なケガを未然に防ぐことが可能です。
まとめ
野球肩の原因となるGIRDは、初期段階では自覚症状がないことが多いため、早期発見と予防が重要です。SWEを用いた肩の硬さ測定は、ケガのリスクを事前に評価し、選手が安全にプレーを続けるための重要な手段となります。
◇ 参考文献
Park HJ, Jeon JH, Suh DK, Lee CS, Lee JH, Jeong WK. Correlation of Glenohumeral Internal Rotation Deficit with Shear Wave Ultrasound Elastography Findings for the Posterior inferior Shoulder Capsule in College Baseball Players. Journal of Shoulder and Elbow Surgery (2020), doi: 10.1016/j.jse.2020.09.036
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