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妊娠中の体重管理がカギ!産後の腰痛リスクを減らす方法
【妊娠と腰痛:なぜ痛みが続くのか?】
妊娠中、多くの女性が腰や骨盤周りの痛みを経験します。これは、お腹の赤ちゃんの成長に伴う体の変化によるものです。しかし、産後になっても腰痛が続くケースがあり、これを「持続性腰痛」と呼びます。
今回の研究では、妊娠中の体重増加(妊娠関連体重増加、GWG)が産後の持続性腰痛にどのように影響するかを調査しました。その結果、妊娠中に15kg以上体重が増えた女性は、10kg未満の女性に比べて産後も腰痛が続くリスクが約2.3倍高いことが明らかになりました。
この研究は、産後の女性が腰痛に悩まされる原因の一つとして、妊娠中の体重増加が重要な要因であることを示しています。では、なぜ体重増加が腰痛に影響するのでしょうか?
【体重増加と腰痛のメカニズム】
妊娠中の体重増加が腰痛を引き起こす理由には、主に 「姿勢の変化」「骨盤の負担増加」「炎症の影響」 があります。
① 姿勢の変化
妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて重心が前方に移動し、腰を反らせる姿勢(腰椎前弯)が強くなります。この変化によって腰や骨盤周りの筋肉に負担がかかり、腰痛の原因となります。
② 骨盤への負担増加
体重が増えると、骨盤や脊椎にかかる負担が大きくなります。特に、妊娠中に骨盤の安定性を保つ筋肉(骨盤底筋)が弱くなることが分かっています。体重が増えすぎると、この影響がさらに大きくなり、産後も腰痛が続きやすくなります。
③ 炎症の影響
過度な体重増加は、炎症物質の増加とも関連しています。特に、妊娠中に「C反応性タンパク(CRP)」という炎症マーカーが高くなると、産後の腰痛リスクも高まるとされています。肥満や過剰な体重増加が炎症を引き起こし、それが慢性的な痛みの一因となる可能性があります。
このように、妊娠中の体重増加が腰や骨盤に与える影響は大きく、産後の腰痛を長引かせる原因となるのです。
【産後の腰痛を防ぐためにできること】
産後の腰痛を防ぐためには、妊娠中の適切な体重管理が重要です。以下のポイントを意識することで、リスクを減らすことができます。
① 妊娠中の体重増加を適正範囲に保つ
厚生労働省のガイドラインでは、妊娠中の体重増加の目安として 「普通体型(BMI 18.5〜25)の女性は7〜12kg程度が適正」 とされています。適度な体重増加を心がけることで、腰痛リスクを軽減できます。
② 適度な運動を取り入れる
適度な運動は、妊娠中の体重管理だけでなく、筋力維持にも役立ちます。特に骨盤底筋を鍛えるエクササイズ(例:ケーゲル体操)を行うことで、骨盤の安定性を保ち、腰痛を予防する効果が期待できます。
③ 正しい姿勢を意識する
妊娠中・産後ともに、正しい姿勢を意識することが腰痛予防につながります。 例えば、立つときは背筋を伸ばし、骨盤を立てるように意識することで、腰への負担を軽減できます。
④ 産後も適切なケアを続ける
産後も適度な運動を続けることで、体の回復を早めることができます。また、腰痛がひどい場合は、専門家(産婦人科医や整形外科医)に相談することをおすすめします。
【まとめ】
今回の研究では、妊娠中に15kg以上体重が増えた女性は、産後も腰痛が続くリスクが約2.3倍高い ことが明らかになりました。
妊娠中の体重増加は、姿勢の変化・骨盤の負担増加・炎症 などを引き起こし、産後の腰痛につながる可能性があります。そのため、適切な体重管理や運動習慣を身につけることが、産後の健康維持につながります。
これから妊娠を迎える方や、現在妊娠中の方は、ぜひ適切な体重管理を心がけてください。産後の腰痛を防ぎ、快適な育児生活を送るために、今できることから始めてみましょう!
【引用論文】
Matsuda N, Kitagaki K, Perrein E, et al. Association Between Excessive Weight Gain During Pregnancy and Persistent Low Back and Pelvic Pain After Delivery. Spine. 2020;45(5):319-324.
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