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頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)とは?症状・原因・最新の手術方法を専門医が解説!

【頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)とは?症状・原因・最新の手術方法を専門医が解説!】

はじめに

OPLLCTMRI.jpg

首の痛みやしびれを感じたことはありませんか?もしかすると、それは「頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)」が原因かもしれません。この病気は、首の骨を支える靭帯が硬くなり、神経を圧迫することで症状を引き起こします。

本記事では、OPLLの症状や原因、最新の手術方法について詳しく解説します。特に、手術が必要となる「K-line (−)」のケースについても説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。


【OPLLの症状と原因】

OPLLの主な症状

OPLLの症状は、骨化した靭帯が神経を圧迫することで現れます。主な症状として、次のようなものがあります。

  • 首や肩のこり、痛み:慢性的な違和感が続くことが多いです。
  • 手足のしびれや力が入りにくい:特に細かい作業がしにくくなることがあります。
  • 歩行障害:足がもつれやすくなることがあり、転倒のリスクが高まります。
  • 排尿・排便障害:重症化すると、自律神経にも影響を及ぼします。

OPLLの原因

OPLLの原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。

  • 遺伝的要因:家族内で発症しやすい傾向があります。
  • 加齢:加齢とともに骨化が進むことがあります。
  • 生活習慣:運動不足や姿勢の悪さも影響を与える可能性があります。
  • 糖尿病との関連:糖尿病の人はOPLLのリスクが高いと言われています。

【K-line (−) とは?手術が必要なケース】

K-Line2003.jpg

K-line とは?

K-lineとは、頚椎の側面X線画像でC2(第2頚椎)とC7(第7頚椎)の中央を結んだ直線のことを指します。この線よりも骨化した靭帯が前方に突き出していない場合を「K-line (+)」、突き出している場合を「K-line (−)」と分類します。

K-Line改定2003.jpg

K-line (+) の場合、後方からの除圧手術(椎弓形成術など)が有効であることが多いですが、K-line (−) の場合は、後方からの手術だけでは神経圧迫を十分に解消できないため、前方固定術や後方固定術が必要になります。

K-line (−) の治療が重要な理由

K-line (−) の患者は、神経の圧迫が強く、保存療法では症状の改善が難しいケースが多いです。そのため、手術による根本的な治療が推奨されます。本記事では、K-line (−) の患者に対する前方固定術と後方固定術について詳しく解説します。


【OPLLの診断と治療法】

診断方法

OPLLは、以下の方法で診断されます。

  • レントゲン検査:骨化の有無を確認します。
  • CTスキャン:骨化の詳細な形状を調べることができます。
  • MRI検査:神経の圧迫状況を詳しく評価できます。

治療方法

OPLLの治療には、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。

保存療法(手術をしない治療)

  • 薬物療法:痛みや炎症を抑えるための鎮痛剤や神経ブロック注射を使用。
  • リハビリテーション:ストレッチや筋力トレーニングで症状を和らげます。
  • 生活習慣の改善:姿勢を良くし、運動を取り入れることが重要です。

手術療法(K-line (−) の患者に推奨される治療法)

K-line (−) の場合、手術が必要となることが多く、以下の方法が検討されます。

1. 前方固定術(前方アプローチ)

OPLLK-Lineマイナス症例.jpg

 

  • OPLLの前方除圧固定術.jpg骨化した靭帯を直接取り除き、骨と骨を固定する手術。
  • メリット:神経の圧迫を直接取り除ける。
  • デメリット:手術が難しく、術後合併症のリスクが高い。髄液漏や嚥下障害(食べ物を飲み込みにくくなる)が起こることがある。

2. 後方固定術(後方アプローチ)

KlineマイナスCT.JPG後方除圧固定術.JPG

  • 神経が通る空間を広げることで、圧迫を軽減する手術。
  • メリット:比較的安全で手術後の回復が早い。
  • デメリット:首の可動域が狭くなることがある。

手術の選択は慎重に!

どの手術方法を選ぶかは、患者さんの症状や骨化の程度によって異なります。手術を検討する際は、脊椎外科の専門医とよく相談しましょう。


【まとめ】

K-Line説明.jpg

頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)は、神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。特に、K-line (−) の場合は神経圧迫が強いため、手術治療が推奨されます。

手術方法には「前方固定術」と「後方固定術」があり、それぞれメリット・デメリットがあります。患者さんの状態に合わせた治療が重要です。

手術後もリハビリを継続し、再発予防に努めることが大切です。気になる症状がある方は、早めに専門医に相談しましょう。

引用論文: Nagoshi N, Yoshii T, Egawa S, et al. Comparison of Surgical Outcomes of Anterior and Posterior Fusion Surgeries for K-line (−) Cervical Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament. Spine 2023;48:937-943.

 

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