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変形性股関節症に新たな希望!体外衝撃波治療(ESWT)の効果を徹底解説

変形性股関節症に希望の光!体外衝撃波治療(ESWT)の最新研究をわかりやすく解説

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股関節の痛みでお悩みの方に朗報です。近年、変形性股関節症(HOA)の痛みと機能改善に有効な「体外衝撃波治療(ESWT)」が注目されています。

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最新の研究では、集束型(f-ESWT)と拡散型(r-ESWT)の2種類の体外衝撃波治療を比較し、どちらがより効果的かを明らかにしました。今回は、その研究結果をわかりやすく解説します。


【1. 体外衝撃波治療(ESWT)とは?】

体外衝撃波治療(ESWT)は、音波の一種である衝撃波を患部に照射することで、痛みを軽減し、組織の修復を促す治療法です。

衝撃波には「集束型」と「拡散型」の2種類があります。

  • 集束型(f-ESWT): 衝撃波を1点に集中させ、深部の組織に強いエネルギーを与える方法です。
  • 拡散型(r-ESWT): 衝撃波を広範囲に拡散させ、表層にやさしく刺激を与える方法です。

これまで、膝の変形性関節症や足底腱膜炎などに効果が確認されていましたが、股関節への効果については明確なエビデンスがありませんでした。


【2. 最新研究で明らかになったESWTの効果】

今回紹介する研究では、変形性股関節症の患者148名を対象に、集束型ESWT、拡散型ESWT、偽治療(プラセボ)の3つのグループに分け、4週間にわたり治療を行いました。

治療効果は、痛みを数値化する「VASスケール」と、関節の機能を評価する「WOMACスコア」で測定されました。

結果は以下の通りです。

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  • 痛みの改善:
    • 集束型ESWT群はVASスコアが平均7.4から3.8に改善。
    • 拡散型ESWT群は7.3から5.5に改善。tabl3股関節症にESWT.JPGtable5股関節症にESWT.JPG
  • 関節機能の改善:
    • WOMACスコアでも、集束型が拡散型より有意に改善を示しました。
  • 偽治療群:
    • 痛みや機能に大きな変化はありませんでした。

特に、集束型ESWTは痛みと機能の両面で最も効果的であることが確認されました。

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【3. 安全性と今後の展望】

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今回の研究では、ESWTの副作用は報告されておらず、安全に使用できることが示されました。

ただし、治療効果は短期的な評価に限られており、長期的な効果や最適な治療頻度を明らかにするためにはさらなる研究が必要とされています。

また、体外衝撃波治療は保険適用外の場合が多いため、医療機関での費用や適用条件を事前に確認することが重要です。


まとめ

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体外衝撃波治療は、変形性股関節症に対して痛みを軽減し、関節機能を改善する有望な非侵襲的治療法です。

特に、集束型ESWTは拡散型よりも高い効果を示しており、手術を避けたい患者さんにとって魅力的な選択肢となるでしょう。

股関節の痛みでお悩みの方は、ぜひ整形外科専門医に相談し、ESWTの適応について確認してみてください。

引用文献: Şah, V. The Short-Term Efficacy of Large-Focused and Controlled-Unfocused (Radial) Extracorporeal Shock Wave Therapies in the Treatment of Hip Osteoarthritis. J. Pers. Med. 2023, 13, 48. https://doi.org/10.3390/jpm13010048

 

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