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タバコが脊椎手術の成功率を下げる?喫煙と術後合併症の関係を徹底解説!
【喫煙が脊椎手術に与える影響とは?最新研究が示すリスク】
はじめに:喫煙と手術の関係とは?
タバコが健康に悪影響を与えることはよく知られていますが、特に手術を受ける際にはさらに大きなリスクが伴います。最近の研究では、喫煙が脊椎手術の成功率や術後の回復にどのように影響を与えるかが詳しく調査されました。今回は、その研究結果をもとに、喫煙が脊椎手術に与える影響について詳しく解説していきます。
【喫煙が引き起こすリスクとは?】
1. 術中の出血リスクが大幅に増加
手術中の出血は、患者の安全性や手術の成功率に大きく関わる重要な要素です。最新の研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べて術中の過剰出血(4リットル以上)が発生するリスクが約6倍も高いことが判明しました。
これは、喫煙が血小板(血液を固める働きをする細胞)の機能を低下させ、血液の凝固を妨げるためです。結果として、手術中に大量の出血が発生しやすくなり、輸血が必要になる可能性が高まります。輸血には感染症のリスクも伴うため、手術の合併症が増える要因となります。
2. インプラント破損率の上昇
脊椎手術では、骨を固定するためにインプラント(金属製のネジやプレート)が使用されることがあります。研究では、喫煙者は非喫煙者に比べてインプラントの破損率が約2倍高いことが確認されました。
これは、タバコに含まれる有害物質が骨の血流を低下させ、骨の強度を弱めるためです。骨が十分に回復しないと、インプラントがしっかりと固定されず、破損やゆるみが生じやすくなります。その結果、再手術が必要になるケースが増える可能性があります。
3. 術後合併症のリスクも上昇
術後の合併症は、患者の回復に大きな影響を与えます。研究では、喫煙者の50%が術後2年間で何らかの合併症を経験していることが分かりました。一方、非喫煙者の合併症率は約39%でした。
特に、喫煙者は術後の創部感染や肺炎などのリスクが高い傾向があります。タバコの煙に含まれる有害物質が免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなるためです。
【脊椎手術を受けるなら禁煙すべき?】
1. 禁煙のメリットは?
脊椎手術の前に禁煙することで、術中の出血量を減らし、インプラントの定着率を向上させ、術後の回復を早めることができます。手術を予定している場合は、できるだけ早く禁煙することが推奨されます。
禁煙すると、血流が改善され、酸素が十分に組織へ供給されるようになります。これにより、傷の治りが早くなり、術後の感染リスクが減少します。また、肺機能が改善されるため、麻酔のリスクも軽減されます。
2. どれくらい前に禁煙すれば効果があるのか?
研究によると、手術の少なくとも6週間前から禁煙することで、術後の合併症リスクを大幅に下げることができます。禁煙期間が長いほど、血流や免疫機能が回復し、手術の成功率が高まります。
【まとめ:喫煙は脊椎手術の成功率を下げる】
今回紹介した研究では、喫煙が脊椎手術の成功率に大きな影響を与えることが明らかになりました。
- 喫煙者は術中の出血リスクが6倍高い
- インプラントの破損率が2倍に増加
- 術後合併症の発生率が非喫煙者よりも高い
これらの結果を踏まえ、脊椎手術を受ける予定がある方は、できるだけ早く禁煙を開始することをおすすめします。禁煙によって手術の成功率が高まり、術後の回復がスムーズになります。健康な未来のために、今からできることを始めてみましょう。
引用文献
Wilson, J. R. F., Jiang, F., Badhiwala, J. H., et al. "The Effect of Tobacco Smoking on Adverse Events Following Adult Complex Deformity Surgery: Analysis of 270 Patients From the Prospective, Multicenter Scoli-RISK-1 Study." Spine, 2020; 45(1): 32-37.
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