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重症手根管症候群の希望!母指対立再建術Camitz法で母指の力を取り戻す

【重症手根管症候群を克服!母指対立再建術Camitz法とは?】

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はじめに

日常生活の中で、親指と他の指を向かい合わせて物をつまむ動作は欠かせません。しかし、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)が進行すると、この「対立動作」が難しくなり、生活の質が大きく低下してしまいます。特に重症の場合、神経や筋肉の機能が著しく低下し、手術が必要になることもあります。

そのような重症例に対して有効な治療法の一つが「Camitz法」と呼ばれる母指対立再建術です。今回は、Camitz法についてわかりやすく解説し、その効果や手術の流れ、術後の経過について詳しく紹介します。


【Camitz法とは?手術の目的と基本的な仕組み】

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Camitz法は、手根管症候群により親指を開いたり、他の指と向かい合わせる動作ができなくなった場合に行う再建術です。この手術では、手首にある「長掌筋腱(PL腱)」を利用して親指の動きを回復させます。

Camitz法の仕組み

Camitz法では、以下のステップで母指の対立機能を再建します。

手根管開放.JPG

  1. PL腱の採取: 手首から前腕にかけて存在するPL腱を切り離します。この腱は手の動きに必須ではないため、切除しても問題ありません。APBトンネル.JPG
  2. 腱の移動: 切り取ったPL腱を親指の付け根に移植し、親指の「母指外転筋(APB)」に縫い付けます。Camitz術後pg.jpg
  3. 滑車(プーリー)の利用: 改良されたCamitz法では、手根管を覆う「屈筋支帯(くっきんしたい)」を滑車として使用し、腱の移動方向を調整します。

この仕組みにより、親指を開く動き(外転)だけでなく、つまむ動作(対立)が可能となります。


【Camitz法の効果とメリット】

手術後の効果については、いくつかの研究に基づいたデータが示されています。

1. 親指の可動域とつまむ力の回復

Camitz法を受けた患者では、親指の動きとつまむ力が有意に改善されることが報告されています。例えば、Hattoriらの研究では、手術3か月後に親指の外転角度が平均22度から44度に改善され、6か月後も安定した結果が得られたとされています【8†source】。

また、つまむ力(パルプピンチ力)は手術前の53%から64%に上昇し、最終的には80%にまで改善したことが報告されています

2. 生活の質の向上

Camitz法により、ボタンを留める、歯ブラシを持つ、食器を持つといった日常的な動作がスムーズに行えるようになります。患者の生活の質(QOL)の向上が、手術後3か月という短期間で達成されたことが報告されています。

3. 安全性の高さと低侵襲性

Camitz法は比較的短時間で行える手術であり、全身麻酔ではなく局所麻酔下でも可能です。また、術後の合併症が少なく、腱癒着や神経損傷といった重篤な問題は稀であることが確認されています。


【手術の流れと術後のリハビリ】

Camitz法の手術は以下のような流れで進められます。

1. 術前準備

手術前には、手の神経伝導検査や超音波検査などで、手根管症候群の重症度を評価します。また、PL腱が存在するかを確認するために簡単なテストが行われます。

2. 手術当日

手術は局所麻酔下で行われ、約30〜60分程度で完了します。手首から親指にかけて小さな切開を行い、PL腱を移植します。

3. 術後の管理

手術後は、親指を安定させるために4週間程度のスプリント固定を行います。その後、以下のリハビリを行います。

  • 軽いストレッチと可動域訓練(術後2週目以降)
  • 筋力トレーニング(術後4週目以降)
  • 日常生活動作の再開(術後6〜8週目)

【Camitz法の適応と注意点】

Camitz法は、以下のようなケースに適応されます。

  • 重症の手根管症候群で親指の対立動作が困難な場合
  • 母指球筋の萎縮が進行し、自然回復が期待できない場合
  • 他の保存療法では改善しなかった場合

一方で、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • PL腱が先天的に存在しない場合
  • 手首に高度な変形や他の手術歴がある場合
  • 全身的な健康状態が手術に適さない場合

【まとめ】

Camitz法は、重症の手根管症候群に対して効果的な母指対立再建術です。PL腱を利用して親指の動きを回復させることで、つまむ動作を改善し、生活の質を向上させることが可能です。

手術は比較的安全で、術後のリハビリをしっかり行うことで、早期の回復が期待できます。親指の動きに不安を感じている方や、従来の治療で十分な効果が得られなかった方は、医師に相談し、適切な治療法を選択することをおすすめします。


【引用文献】

  1. Dehghani M, et al. "Modified Camitz versus BRAND Procedures for the Treatment of Severe Carpal Tunnel Syndrome: A Comparative Trial Study." Arch Bone Jt Surg. 2020;8(3):420-425。
  2. Hattori Y, et al. "Camitz Tendon Transfer Using Flexor Retinaculum as a Pulley in Advanced Carpal Tunnel Syndrome." J Hand Surg Am. 2014;39(12):2454-2459。
  3. Wan SH, et al. "Clinical experience of open carpal tunnel release and Camitz operation in elderly Chinese patients." Hong Kong Med J. 2007;13(5):348-352。

この記事が、手根管症候群とその治療法について理解を深める一助となれば幸いです。ご不明な点があれば、整形外科専門医での相談をお勧めします。

 

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