神経障害性疼痛を和らげる！ストレッチ＆筋力強化ヨガの実力

【ヨガは腰椎椎間板ヘルニアの神経痛に効く？】

腰の痛みやしびれを引き起こす「腰椎椎間板ヘルニア（LDH）」。この痛みの原因の一つが「神経障害性疼痛」です。最近の研究で、ストレッチと筋力強化を取り入れたヨガがこの痛みを和らげる可能性があることがわかりました。

本記事では、**「ヨガが腰椎椎間板ヘルニアの痛みに本当に効果があるのか？」**について、最新の研究をもとに解説します。

【ヨガが神経障害性疼痛を改善するメカニズム】

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板（背骨の間にあるクッション）が飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こします。これにより、通常の痛みとは異なる「神経障害性疼痛」が発生します。

研究では、ヨガが以下のような作用を持つことで、この痛みを和らげる可能性があるとされています。

1. 神経の可動性を向上

• 神経は適度に動くことで正常に働きます。しかし、ヘルニアにより圧迫されると、動きが制限され、痛みが増します。
• ヨガのストレッチは、「神経モビライゼーション」（神経を滑らかに動かすこと）を促進し、痛みの軽減につながると考えられています。

2. コア筋力を強化し、脊椎を安定化

• 体幹（コア）の筋肉が弱いと、腰椎への負担が増加し、神経の圧迫が悪化する可能性があります。
• ヨガの**プランクポーズ（腕立て伏せの姿勢をキープするポーズ）やキャット＆カウ（背中を丸めたり反らしたりする動き）**などの動作が、脊椎を支える筋力を向上させます。

3. 炎症を抑え、痛みを軽減

• 神経障害性疼痛は、炎症性サイトカイン（炎症を引き起こす物質）が増えることで悪化します。
• ヨガを行うことで、抗炎症作用を持つサイトカイン（IL-10など）の分泌が増加し、痛みの軽減につながると考えられています。

【研究結果：ヨガは本当に効果があるのか？】

2022年に発表されたランダム化比較試験（RCT）では、腰椎椎間板ヘルニアによる神経障害性疼痛を持つ患者を対象に、ヨガを行ったグループと通常のケアを受けたグループで比較が行われました。

■ 研究の概要

• 参加者：48名（腰椎椎間板ヘルニアによる神経障害性疼痛を持つ女性）
• 期間：12週間
• 方法：
• ヨガグループ（24名）：週2回、1時間のヨガセッションを実施
• 対照グループ（24名）：通常の生活指導のみ

■ 研究結果（ヨガの効果）

項目	ヨガグループ	対照グループ
神経障害性疼痛（DN4スコア）	6→1（大幅改善）	6→6（変化なし）
腰痛（VASスコア）	5.7→2.3（約60％改善）	5.9→5.9（変化なし）
日常生活の支障度（ODIスコア）	40.4→18.4（約50％改善）	38.1→37.2（ほぼ変化なし）

上記の結果から、ヨガを行ったグループは、神経障害性疼痛、腰痛、日常生活の支障が有意に改善したことが確認されました。

【どんなヨガが効果的？初心者でもできるおすすめポーズ】

研究で取り入れられたヨガポーズの中で、特に効果的だったものを紹介します。初心者でも無理なく行えるので、ぜひ試してみてください。

1. キャット＆カウ（Cat-Cow）

• 背骨を丸めたり反らしたりする動きで、脊椎の柔軟性を向上。
• 呼吸と連動させることで、リラックス効果もあり。

2. ブリッジ（Bridge Pose）

• 背骨をゆっくり持ち上げることで、体幹の筋力を強化。
• 腰椎を安定させ、神経への圧迫を軽減。

3. 三角のポーズ（Triangle Pose）

• 背中や腰回りの筋肉を伸ばし、可動域を広げる。
• 姿勢改善にも効果的。

4. プランク（Plank）

• 体幹を鍛え、腰椎の安定性を高める。
• 初心者は膝をついた状態で行ってもOK。

5. チャイルドポーズ（Child's Pose）

• 腰を伸ばしてリラックスできるポーズ。
• ヨガの合間の休憩としても最適。

【まとめ：ヨガは腰椎椎間板ヘルニアの神経痛に有効な選択肢】

今回の研究では、ストレッチと筋力強化を組み合わせたヨガが、腰椎椎間板ヘルニアによる神経障害性疼痛の軽減に効果的であることが示されました。

ただし、すべての人に効果があるわけではなく、以下の点に注意が必要です。

✔ 無理な姿勢や過度なストレッチは避ける
✔ 継続して行うことで効果が得られる
✔ 痛みが悪化する場合は医師に相談する

「腰の痛みをどうにかしたい」「神経痛を改善できる方法を探している」という方は、ヨガを試してみる価値は十分にありそうです！

引用文献

• Yildirim P, Gultekin A. The Effect of a Stretch and Strength-Based Yoga Exercise Program on Patients with Neuropathic Pain due to Lumbar Disc Herniation. Spine. 2022;47(10):711-719.