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股関節の痛みを解決!関節包修復で再手術を防ぐ最新治療法

股関節の痛みを解決!関節包修復で再手術を防ぐ最新治療法

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【股関節鏡手術とは?基礎知識をわかりやすく解説】

股関節鏡手術は、股関節の問題を最小限の切開で治療する方法です。内視鏡を使い、関節の内部を確認しながら手術を行うため、回復が早いというメリットがあります。

特に近年、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) と呼ばれる疾患の治療に広く用いられています。FAIとは、大腿骨と骨盤がぶつかり、軟骨や関節唇(関節のふちを覆う組織)が傷つく状態を指します。放置すると関節が変形し、変形性股関節症 へと進行する可能性があるため、早期治療が推奨されます。

以前は、開放手術が一般的でしたが、技術の進歩により股関節鏡手術が普及しました。この手術では、関節包と呼ばれる股関節を包む膜を切開しますが、この関節包を修復するかどうかが、近年の重要な議論となっています。


【関節包修復がもたらすメリットとは?最新研究の結果】

関節包修復とは、股関節鏡手術の際に切開した関節包を縫合し、元の状態に戻す手技です。これが患者の回復にどう影響するのか、多くの研究が行われています。

過去の研究では、関節包を修復しないと股関節が不安定になり、長期的に見ると人工股関節置換術(THA) を受ける確率が高まることが示されています。特に、関節包を修復した患者の方が痛みの軽減や運動機能の回復が良好であることが分かっています

また、関節の動きを計測するバイオメカニクス(生体力学)的な研究でも、関節包を閉じることで股関節の安定性が向上し、正常な動きが保たれることが確認されています。

手術後に「股関節がゆるく感じる」「動かすと違和感がある」といった症状を防ぐためにも、関節包修復は重要な役割を果たしているのです。


【股関節鏡手術を受けるなら知っておきたいポイント】

股関節鏡手術を受ける際、関節包修復が必要かどうかを医師とよく相談することが大切です。手術の成功率を高め、長期的な股関節の健康を守るために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 医師の経験を確認する
     股関節鏡手術は高度な技術を要するため、経験豊富な医師に相談することが大切です。
  2. 術後のリハビリが重要
     手術後は適切なリハビリを行うことで、回復を早め、関節の動きを取り戻すことができます。
  3. 関節包修復の有無を確認
     「関節包を閉じた方が良いのか?」を主治医に聞いてみましょう。特に股関節の安定性が必要なスポーツ選手や活動的な方には、関節包修復が推奨されるケースが多いです。

近年の研究結果を踏まえると、関節包修復は股関節の安定性を高め、将来的な手術リスクを減らす可能性が高いと考えられます。股関節の健康を守るため、最新の治療法を正しく理解し、自分に合った治療を選びましょう。


引用論文

  • Wylie JD. Complete Capsular Closure During Hip Arthroscopy Provides the Most Reliable and Durable Outcome. Arthroscopy. 2021. 【11】

 

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