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膝の痛みや不安定感の原因?大腿骨の変形を治す手術の最新情報
膝の痛みや不安定感の原因?
大腿骨の変形を治す手術の最新情報
【大腿骨のねじれと変形を同時に治す新しい手術とは?】
膝の痛みや違和感が続く原因のひとつに、大腿骨(太ももの骨)の変形があります。特に、「ねじれ(回旋異常)」と「傾き(前額面の変形)」が同時に起こるケースでは、従来の手術では個別に対応する必要があり、手術が複雑になっていました。
しかし、最近の研究で「遠位大腿骨骨切り術(DFO)」という手術を活用し、ねじれと変形を一度の手術で同時に矯正できることが明らかになりました。本記事では、この手術法の最新研究をもとに、その効果やメリットについて解説します。
【手術のポイント!大腿骨の変形をどう矯正するのか?】
DFOは、大腿骨の下のほう(膝に近い部分)で骨を切り、適切な角度に修正する手術です。特に、今回の研究では「患者ごとにオーダーメイドの器具(PSI)」を用いることで、より正確に矯正する方法が採用されました。
手術の流れは以下のようになります。
- 3D画像をもとに手術計画を作成
事前にCTスキャンを行い、患者の骨の形状をコンピュータ上で再現。どの角度で修正するべきかを計算します。 - カスタムメイドの手術器具(PSI)を作成
計画通りに手術が進められるよう、患者ごとの骨の形にぴったり合う器具を3Dプリンターで作成します。 - 骨切りと矯正
事前に設計した器具を使い、正確な位置で骨を切断し、適切な角度に修正します。その後、特殊なプレートやネジで固定します。
この方法により、手術の精度が向上し、誤差を最小限に抑えられることが研究で確認されました。特に、ねじれの矯正誤差は平均2.4度、変形の矯正誤差は1.1度と、非常に高い精度で手術が行われたことが報告されています。
【患者にとってのメリットは?リハビリと回復期間】
この手術法には、患者にとって多くのメリットがあります。
✔ 一度の手術で二つの変形を修正できる
従来はねじれと傾きを別々の手術で治療する必要がありましたが、DFOを使うことで手術回数を減らすことができます。
✔ 手術の精度が向上し、膝への負担が少ない
3D技術とカスタムメイドの器具を使うことで、狙った角度により正確に矯正できるため、膝への負担が軽減されます。
✔ リハビリの進行がスムーズに
手術後は約6週間の部分荷重期間を経て、10〜12週間後には完全荷重が可能になります。これは従来の方法と比べても、回復が早いと考えられます。
研究では、すべての患者で手術後の骨の癒合(くっつくこと)が確認され、手術の成功率が高いことが証明されました。
【まとめ:DFO手術は膝の負担を減らす新しい選択肢】
遠位大腿骨骨切り術(DFO)は、膝の痛みや不安定感の原因となる「ねじれ」と「変形」を同時に修正できる最新の手術法です。特に、オーダーメイドの手術器具(PSI)を活用することで、高い精度で矯正が可能になることが研究で明らかになりました。
膝の痛みが続いている方や、膝の不安定感で日常生活に支障を感じている方は、一度専門医に相談してみることをおすすめします。最新の手術法によって、より快適な生活を取り戻せるかもしれません。
引用論文
Neopoulos G, Jud L, Vlachopoulos L, Fucentese SF. Combined Correction of Coronal and Rotational Deformities of the Femur With Distal Femoral Osteotomy Using Patient-Specific Instrumentation. The American Journal of Sports Medicine. 2025. DOI: 10.1177/03635465251314868.
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