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側弯症治療の最新研究!夜間装具 vs. 終日装具の効果と生活への影響を徹底比較
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側弯症治療の最新研究!
夜間装具 vs. 終日装具の効果と生活への影響を徹底比較
【思春期特発性側弯症とは?装具治療の重要性】
思春期特発性側弯症(AIS)は、成長期の子どもに発生する原因不明の背骨のゆがみです。特に10〜18歳の女子に多く見られ、進行すると見た目だけでなく、背中の痛みや呼吸機能の低下を引き起こすこともあります。
この側弯症の進行を防ぐために、装具治療(コルセット療法)が広く行われています。装具には「終日装着型(FT装具)」と「夜間装着型(NT装具)」の2種類がありますが、それぞれの効果や生活への影響はどのように違うのでしょうか?今回の研究では、この2つの装具の比較が行われました。
【夜間装具 vs. 終日装具:どちらが効果的?】
今回の研究は、25〜45度の側弯症を持つ78名の思春期患者を対象に行われました。患者はランダムに「終日装具(FT装具)」または「夜間装具(NT装具)」を使用するグループに分けられ、2年間にわたって経過が追跡されました。
結果は以下のようになりました。
- 背骨のゆがみ(Cobb角)の進行防止効果
- 終日装具と夜間装具のどちらも、側弯症の進行を抑える効果が確認されました。
- 2年間の経過観察で、どちらのグループも手術が必要になる確率に大きな差はありませんでした。
- 治療の満足度と生活への影響
- 6か月後の時点で、「自分の見た目(セルフイメージ)」に関する評価が夜間装具の方が高いことが分かりました。(p=0.047)
- 1年後の時点では、夜間装具を使用した患者の方が痛みが少なかったことが確認されました。(p=0.048)
- 治療の継続率
- 終日装具は1日18時間以上の装着が推奨されており、社会生活において負担が大きいと感じる患者が多くいました。
- 一方、夜間装具は寝るときのみ装着するため、日常生活への影響が少なく、継続しやすい傾向がありました。
【結論:夜間装具は有効な選択肢!】
本研究の結果から、夜間装具は終日装具と同等の効果がありながら、患者の生活の質(QOL)に与える影響が少ないことが分かりました。特に「痛みが少ない」「自分の見た目への不満が少ない」といった点で、夜間装具の方が優れている可能性があります。
従来、側弯症の治療では終日装具が一般的でしたが、「夜間装具も有効な治療選択肢になりうる」というのは大きな発見です。今後のさらなる研究により、より多くの患者が負担の少ない治療法を選択できるようになることが期待されます。
【参考文献】
Peiro-Garcia, A., Garcia, R. G., Martin-Gorgojo, V., et al. (2025). Impact on Quality of Life of Full-time and Night-time Braces in Adolescent Idiopathic Scoliosis: A Randomized Clinical Trial. Spine, 50(4), 231-237.
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