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思春期特発性側弯症とは?原因・治療法・装具治療の効果を徹底解説!
【思春期特発性側弯症とは?】
原因・治療法・装具治療の効果を徹底解説
思春期特発性側弯症(AIS)は、思春期に発症し、特に女の子に多い背骨の変形です。放っておくと側弯が進行し、重度になると手術が必要になることもあります。本記事では、AISの原因、治療法、そして装具治療(TLSO)の効果について詳しく解説します。
【思春期特発性側弯症の原因と特徴】
思春期特発性側弯症は、その名の通り「特発性」、つまり原因が明確ではありません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。
1. 遺伝的要因
親や兄弟に側弯症の人がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。特定の遺伝子が関与している可能性がありますが、まだ完全には解明されていません。
2. 成長期の急激な変化
AISは10〜16歳ごろに発症しやすく、特に身長が急に伸びる成長期に進行することが多いです。骨の成長と筋肉のバランスが崩れることが一因と考えられます。
3. 性別の違い
AISは特に女の子に多く、男の子に比べて進行するリスクが高いことが分かっています。そのため、定期的な検診が重要です。
4. 生活習慣の影響は?
「姿勢が悪いと側弯症になる」と思われがちですが、科学的な根拠はありません。もちろん、良い姿勢を保つことは健康には重要ですが、AISの直接的な原因ではないのです。
【思春期特発性側弯症の治療法】
AISの治療法は、側弯の進行度や成長の残り具合によって異なります。主な治療法は以下の3つです。
1. 経過観察(軽度の場合)
Cobb角(側弯の角度)が20度未満の場合、すぐに治療を開始する必要はありません。定期的にレントゲン検査を行い、側弯の進行をチェックします。
2. 装具治療(TLSO)
Cobb角が20〜45度の場合、装具(TLSO)を使うことで側弯の進行を抑えることができます。装具治療の成功率は装着時間に大きく依存し、1日18時間以上装着することで手術を回避できる可能性が高まります。
3. 手術(重度の場合)
Cobb角が45度を超えると、装具では進行を抑えられないことが多く、手術が推奨されることがあります。手術では、金属の棒(ロッド)やネジを使い、背骨を矯正・固定します。
【装具(TLSO)治療の効果と注意点】
最近の研究(Smithら, 2024)では、TLSOの装着時間が治療の成否に重要な役割を果たすことが確認されました。以下に、装具治療のポイントをまとめます。
1. 装着時間と効果
TLSOを1日18時間以上装着すると、側弯の進行を抑える確率が高くなります。研究では、装着時間が長いほど手術を回避できる可能性が高まることが示されています。
2. 装具が適用される条件
- Cobb角が20〜45度
- 成長期(骨がまだ成長している段階)
- 骨の成熟度(Risser 0〜2、または初経から1年未満の女児)
3. 装具を続けるための工夫
装具治療は継続が重要ですが、慣れるまで時間がかかることがあります。以下のポイントを意識すると続けやすくなります。
- 着脱しやすい服を選ぶ
- 初めは短時間から徐々に装着時間を増やす
- 友達や家族に理解を得る
4. 装具治療のリスクは?
装具自体に副作用はありませんが、長時間の装着によるストレスや皮膚の違和感があることも。定期的に医師と相談しながら進めることが大切です。
【まとめ】
思春期特発性側弯症(AIS)は、成長期に起こる側弯症で、特に女の子に多い疾患です。軽度であれば経過観察、中等度なら装具治療(TLSO)、重度の場合は手術が選択されます。
装具治療は特に効果が高く、装着時間が長いほど手術の回避率が上がることが最新の研究で確認されています。AISは早期発見・適切な治療が重要なので、学校の検診や定期的なチェックを活用しましょう。
【引用論文】 Smith KJ, Benish BM, Nelson EA, et al. The effect of thoraco-lumbo-sacral orthosis wear time and clinical risk factors on curve progression for individuals with adolescent idiopathic scoliosis. Spine J. 2024; DOI: 10.1016/j.spinee.2024.07.004
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