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手首の痛みと腱断裂:Sauvé-Kapandji法が有効な理由

「手首の痛みと腱断裂:Sauvé-Kapandji法が有効な理由」

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【Sauvé-Kapandji法とは?その基本と目的】

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Sauvé-Kapandji法(SK法)は、主に遠位橈尺関節(DRUJ)の機能障害に対応するための外科手術です。この方法は、関節の融合と人工関節(偽関節)を組み合わせた独特なアプローチで、特にリウマチ性疾患や外傷による腱断裂に対して利用されます。

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例えば、リウマチ性疾患では関節の炎症が進行すると、手首の機能低下や痛みが発生します。SK法は、これらの症状を軽減しつつ、手首の回転機能を可能な限り保持することを目的としています​​。


【伸筋腱断裂とSK法の適応】

腱断裂の原因と影響

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伸筋腱断裂は、主にリウマチ性疾患や外傷に伴う炎症が原因で発生します。このような状況では、橈尺関節の変形が腱に負担をかけ、最終的に断裂を引き起こします。特に尺骨遠位の突出部分が腱を摩耗させることが多いです​​。

SK法の役割

SK法では、遠位橈尺関節を固定して尺骨の一部を切除し、その部分に人工的な関節を作成します。この手術により、尺骨頭の突出が除去されるため、腱への摩擦を軽減できます。また、手首の安定性が向上し、腱断裂の進行を防ぐ効果も期待できます​​。


【治療のメリットと注意点】

SK法のメリット

  1. 手首の回転機能を維持
    従来のDarrach法よりも、SK法は尺骨の支持力を維持するため、手首の回転機能がより保たれやすいとされています​​。
  2. 痛みの軽減
    多くの患者が、術後の痛みが大幅に軽減したと報告しています。術後の患者満足度も高く、日常生活への復帰が可能です​​。

注意すべきリスク

  • 尺骨近位端の不安定性
    SK法の主なリスクは、尺骨近位端が不安定になることです。このリスクを軽減するために、手術中に適切な支持術を追加する必要があります​​。
  • 再手術の可能性
    一部の患者では、術後に硬直や痛みが再発し、追加の手術が必要となる場合があります​​。

まとめ

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Sauvé-Kapandji法は、伸筋腱断裂や遠位橈尺関節の問題に対する有効な治療法です。ただし、適切な適応条件の判断と術後管理が必要です。手首や手の機能に問題を感じた場合は、早めに専門医に相談し、最適な治療法を見つけることが大切です。

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参考文献

  1. Reissner et al., 2021, Long-term results of Sauvé-Kapandji procedure​.
  2. Carl et al., 2019, Functional and Radiographic Outcomes​​.
  3. Debeij et al., 2024, Long-term outcomes of Sauvé-Kapandji procedure​

 

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