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発育性股関節形成不全とは?再手術を防ぐポイントを徹底解説
「発育性股関節形成不全とは?再手術を防ぐポイントを徹底解説」
【発育性股関節形成不全とは?】
発育性股関節形成不全(DDH)は、股関節の発育に異常があり、関節が正しい位置に収まらない状態を指します。歩行前にDDHが発見された場合はリーメンビューゲル装具で股関節脱臼の整復をうながす装具であり良好な治療成績が報告されています。
しかし、生後6か月以降に発見されるケースでは、手術が必要となる場合があります。この病気は、赤ちゃんの骨格形成に影響を及ぼし、適切な治療が施されないと歩行障害を引き起こす可能性があります。
治療は主に、関節を正しい位置に戻す「整復手術」によって行われます。しかし、この治療には再手術が必要になるリスクが伴います。再手術とは、最初の手術で十分な改善が得られなかった場合に行われる追加の手術のことです。
【再手術率を低下させる鍵は?】
再手術率を低下させるための最適な手術方法について、台湾の全国的なデータをもとにした研究結果が発表されました。この研究では、1~3歳の子どもを対象に行われた整復手術後の再手術率が調査されました。
研究によると、以下の手術が再手術率に大きな影響を与えていることが分かりました:
- 閉鎖整復:再手術率が最も高く、約28%。
- 開放整復:再手術率は約15%。
- 骨盤骨切り術:再手術率が最も低く、約9%。
特に、1歳半を超える年齢の子どもにおいては、骨盤骨切り術を併用した手術が再手術リスクを大幅に軽減することが示されました。
【保護者が知っておくべきポイント】
再手術のリスクを最小限に抑えるためには、早期発見と適切な手術方法の選択が重要です。以下の点に注意しましょう:
- 早期発見:赤ちゃんの足の長さや大腿の皮膚の非対称、可動域に違和感を感じたら、すぐに医師に相談してください。
- 治療の選択肢:医師と相談して、再手術率の低い方法を検討しましょう。
- 術後のフォローアップ:術後の経過観察をしっかり行い、必要に応じて早期に追加治療を受けることが大切です。
台湾の研究では、全国的な保険データを用いることで、実際の医療現場での治療効果を検証しています。このようなデータに基づく情報は、医療の質を向上させる重要な指針となります。
この記事が皆さんのお子さんの健康を守る一助となれば幸いです。早期発見と適切な治療が、お子さんの未来の健康を支える大きなカギとなります。
【引用論文】
Chang CH, Hung CL, Lee WC, Kao HK, Wang SM, Kuo KN. Reoperations as an Outcome Indicator for Developmental Dysplasia of the Hip Treated at Walking Age. J Bone Joint Surg Am. 2025;00:1-7. DOI: 10.2106/JBJS.24.00486
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