1. ピラティスとエアロバイク、慢性腰痛に効果的なのはどっち？

   
   

 

 

【慢性腰痛における運動療法の重要性】

慢性腰痛は3ヶ月以上続く腰痛を指し、世界中で多くの人が悩む健康問題です。慢性腰痛を改善するための第一選択として、運動療法が推奨されています。運動には、筋力を向上させるだけでなく、痛みの軽減や日常生活の改善にも役立つ効果があります。本研究では、ピラティスとエアロバイクという2種類の運動が慢性腰痛患者に与える影響を比較しました。

ピラティスは、体幹（コア）を中心に筋力や柔軟性を高めるエクササイズです。一方、エアロバイクは有酸素運動の代表的な方法で、心肺機能を高めるとともに全身の血流を改善します。どちらが腰痛改善に効果的なのか、科学的な視点で探ります。

【ピラティスとエアロバイクの効果比較】

64人の慢性腰痛患者を対象に、8週間にわたり週3回の運動プログラムを実施しました。参加者はピラティス群（SEG）とエアロバイク群（CEG）にランダムに分けられました。その結果、以下のような違いが明らかになりました：

• 痛みの軽減
  ピラティス群では、8週間後の痛みスコアが43%低下（エアロバイク群では25%低下）。ピラティスが短期的にはより効果的でした。
• 機能障害の改善
  ピラティス群のOswestry障害指数（ODI）が41.9%低下し、エアロバイク群（3.9%低下）を大きく上回りました。
• 心理的要因の改善
  恐怖回避思考や痛みへの過剰な不安を測定するスコアでは、どちらの運動も改善が見られましたが、大きな差はありませんでした。

【どちらの運動を選ぶべきか？】

短期的には、ピラティスが痛みや機能障害の改善で優位性を示しました。ただし、6ヶ月後のフォローアップでは両グループに大きな差はなく、どちらの運動も一定の効果が確認されています。

運動選択のポイント

• 痛みが強い場合はピラティスを試す
• 
  ピラティスは、体幹の安定性を高めることで腰痛に効果的です。特に痛みが強い方におすすめです。
• 持続可能な方法を選ぶ
• 
  エアロバイクは心肺機能も向上させるため、長期的な健康維持に適しています。
• 専門家の指導を受ける
  ピラティスはフォームが重要なため、トレーナーの指導を受けることで効果を最大化できます。

引用文献

Marshall PWM, Kennedy S, Brooks C, et al. Pilates Exercise or Stationary Cycling for Chronic Nonspecific Low Back Pain: Does it Matter? Spine. 2013;38(15):E952-E959. doi:10.1097/BRS.0b013e318297c1e5

慢性腰痛に悩む方々にとって、運動選びの一助となる情報を提供することを目指しています。