成尾整形外科病院

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膝蓋骨脱臼とは?原因から治療法まで徹底解説!

膝蓋骨脱臼とは?原因から治療法まで徹底解説!

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膝蓋骨脱臼とは?

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膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう怪我です。この状態は特に運動中や転倒などの外力で起こりやすく、子どもや若年層に多いと言われています。

脱臼後の適切な対応がないと、膝の安定性が低下し、再発リスクが高まる可能性があります。ここでは、膝蓋骨脱臼の原因、治療法、そして再発リスクについて詳しく解説します。


【膝蓋骨脱臼の原因とメカニズム】

膝蓋骨脱臼の原因として、いくつかの要因が挙げられます。

主な原因

  1. 外傷性の要因
    スポーツや転倒時に膝へ強い衝撃が加わると、膝蓋骨が外側へ脱臼することがあります。
  2. 解剖学的な特徴
    骨や関節の構造が原因で脱臼しやすい人もいます。特に次のような特徴がリスクを高めます。
    • 膝蓋骨の高さが高い
    • 膝蓋骨が収まる溝が浅い(滑車形成不全)
    • 骨の成長が未熟(骨端線が閉じていない子ども)
  3. 筋力不足や柔軟性の低下
    太ももの筋肉(大腿四頭筋)のバランスが崩れることで、膝蓋骨を安定させる力が弱まります。

【膝蓋骨脱臼の治療法】

膝蓋骨脱臼は、初回脱臼か再発脱臼かによって治療法が異なります。

初回脱臼の場合

初めて膝蓋骨が脱臼した場合、多くは非手術的治療が行われます。

  • リハビリテーション
    筋力強化や柔軟性の向上を目指したリハビリが効果的です。
  • 装具の使用
    膝蓋骨を安定させるためのサポーターや装具を装着します。

再発脱臼の場合

再発リスクが高い場合や、複数回の脱臼を経験している場合には手術が検討されます。

  • 内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の再建術
    膝蓋骨を正しい位置に戻す靭帯を再建する手術です。
  • 滑車形成術
    膝蓋骨が収まる溝を整えることで安定性を向上させます。

【膝蓋骨脱臼の再発リスクと予防】

膝蓋骨脱臼は再発しやすい怪我のひとつです。適切な治療や予防法を実践することで、再発のリスクを減らすことができます。

再発リスク

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研究によると、膝蓋骨脱臼を初めて経験した患者のうち約20~40%が再発する可能性があるとされています。特に以下の条件を持つ人はリスクが高まります。

  • 骨の成長が未熟な場合(骨端線が未閉鎖)
  • MRIで測定した滑車角が広い(154°以上)
  • 膝蓋骨が高い位置にある(Insall-Salvati比が1.3以上)
  • 膝table3.JPG膝table4.JPG

予防法

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  1. 筋力トレーニング
    太ももの筋肉を強化することで膝蓋骨の安定性を高めます。ストレッチ膝5.JPG
  2. ストレッチ
  3. 柔軟性を高め、関節の動きをスムーズにします。
  4. 適切な装具の使用膝装具.JPG
    スポーツ時には膝を保護するサポーターを活用しましょう。

まとめ

膝蓋骨脱臼は、外傷性や解剖学的な要因によって発生する怪我であり、適切な治療と予防が重要です。特に再発リスクが高い場合は、専門医による診断と治療計画が必要です。

早期発見・適切な対処を心掛けることで、日常生活への支障を最小限に抑えられます。膝の不安を感じたら、専門医に相談してみてください。

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引用文献

  • Arendt EA, et al. Risk of Redislocation After Primary Patellar Dislocation: A Clinical Prediction Model Based on Magnetic Resonance Imaging Variables. The American Journal of Sports Medicine. 2018.

 

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