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骨粗鬆症と腰椎固定術:未治療の影響を徹底解説
「骨粗鬆症と腰椎固定術:未治療の影響を徹底解説」
骨粗鬆症と腰椎固定術の関係:最新研究から見るリスクと対策
骨粗鬆症は腰椎固定術を受ける患者にとって重要な課題です。この病気を放置すると、手術後のmechanical failure(インプラントの折損や偽関節など)が起こりやすくなります。本記事では、2024年の最新研究に基づき、骨粗鬆症のリスクとその対策について解説します。
ガイドラインでも脊椎再建術などの手術を行う際には、骨形成促進剤(テリパラチド/アバロパラチド)を第一選択として治療することが推奨されております。
【男性の骨粗鬆症リスク:未治療が多い理由】
研究によると、骨粗鬆症を抱える患者の中で、特に男性は未治療である割合が高いことがわかりました。具体的には、男性患者の71%が未治療であったのに対し、女性では35%に留まりました。この差の背景には、男性が自分の骨の健康状態を軽視しがちであることが挙げられます。
未治療の骨粗鬆症が腰椎固定術に与える影響は深刻です。骨密度(BMD)の低下や骨吸収マーカーの上昇が確認されており、これが手術後の骨の安定性に影響を与える可能性があります。男性患者に対しては、より積極的なスクリーニングと治療が求められます。
【骨粗鬆症のスクリーニングと治療の重要性】
腰椎固定術の患者に対して行われた研究では、445人の患者のうち137人が骨粗鬆症であり、そのうち48%が未治療であることがわかりました。この研究では、手術前に行われた定量的CTスクリーニングが、未治療患者の80%を特定しました。
骨粗鬆症治療を受けた患者は、未治療の患者に比べて骨密度が高く、ビタミンDの値も良好でした。また、骨吸収マーカーの値も低かったため、治療が骨の健康を維持するのに有効であることが示されています。この結果は、手術前のスクリーニングと治療がいかに重要であるかを強調しています。
【適切な治療が手術成功率を高める】
未治療の骨粗鬆症が手術後に及ぼす影響として、スクリューの緩みや隣接する骨折のリスクが挙げられます。これらのリスクを軽減するためには、骨粗鬆症の早期発見と治療が欠かせません。
研究では、治療を受けた患者の方が手術後の回復が良好であることが示されています。薬物療法だけでなく、ビタミンDの補充や生活習慣の改善も効果的です。特に高齢者や男性は、自分の骨の健康状態に注意を払い、定期的な検診を受けることが重要です。
引用論文
Köhli, Paul MDa,b,c; Hambrecht, Jan MDa; Wang, Shu-Han MSd; Zhu, Jiaqi MAd; Chiapparelli, Erika MDa; et al. "Untreated Osteoporosis in Lumbar Fusion Surgery Patients: Prevalence, Risk-factors and Effect on Bone Metabolism." Spine, December 3, 2024. DOI: 10.1097/BRS.0000000000005231.
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