成尾整形外科病院

脊椎外科(腰・首・肩・手足)・関節外科(肘・膝・股関節)を中心とした整形外科専門病院

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OLIF手術後の痛みを軽減!椎間関節ブロックの効果とその魅力

【術後の痛みを減らす新しい方法:OLIF手術における椎間関節ブロックの効果】

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【OLIF手術とは?そのメリットと課題】

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腰痛や坐骨神経痛でお悩みの方にとって、外科的治療法の選択は非常に重要です。その中でも近年注目されているのが 斜めのアプローチで行う腰椎椎体間固定術(OLIF) です。この手術法は、従来の方法と比較して筋肉や靭帯へのダメージを最小限に抑え、術後の回復を早めることが期待されています。

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特に後方から除圧術を行われた後の再狭窄や辷り症に対しては、後方からの再手術では神経を損傷する可能性が高くなります。OLIFでは神経を直接触らずに、間接除圧によって狭窄を解除するため非常に有用です。当院でも適応を選んで手術をおこなっております。

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しかし、OLIF手術にも課題があります。それは 術後すぐに現れる腰の痛間接除圧.JPG です。この痛みの原因の一つとして、手術中に 椎間関節が広がる ことが挙げられています。この広がりが関節の痛みを引き起こし、術後の不快感につながっているのです。

今回ご紹介する研究では、この痛みを軽減するための新しい方法として 椎間関節ブロック が検討されました。この記事では、その効果と実際の結果について詳しく解説します。


【椎間関節ブロックの仕組みと研究の概要】

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椎間関節ブロック とは、手術中に関節部分に局所麻酔薬と抗炎症薬を注射する方法です。この研究では、31名の患者に生理食塩水を注射したプラセボ群と、30名の患者に麻酔薬を含む注射を行った実験群に分けて比較が行われました。

研究の目的は、 この注射が術後の痛みや鎮痛薬の使用量にどのような影響を与えるかを明らかにすること です。痛みの評価には 視覚的アナログスケール(VAS) が使用され、術後12時間、24時間、48時間、72時間の間で計測が行われました。また、患者の生活の質を測る Oswestry Disability Index(ODI) も術前と術後6ヶ月時点で記録されました。


【研究の結果が示す驚きの効果】

この研究の結果、以下の3つの重要な事実が明らかになりました:

1. 術後の鎮痛薬使用量の大幅な減少

術後36時間以内において、 実験群の患者はプラセボ群と比べてフェンタニル(強力な鎮痛薬)の使用量が著しく少なかった ことがわかりました。これは、椎間関節ブロックが術後の痛みを効果的に軽減した証拠です。

2. 術後の痛みの軽減

VASスコアによる評価では、 実験群の患者はプラセボ群と比べて術後48時間までの間、腰の痛みが明らかに軽減していました。特に手術後初期の痛みが抑えられたことで、患者の快適さが向上しました。

3. 早期退院と満足度の向上

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また、実験群の患者は平均して 1.3日早く退院 できたことが確認されました。患者満足度も高く、 プラセボ群と比較して有意に高いスコア が得られました。


【椎間関節ブロックがもたらす未来の可能性】

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今回の研究結果から、椎間関節ブロックは OLIF手術後の痛みを軽減し、患者の回復を早める新たな方法 として大きな可能性を秘めていることがわかります。この方法を取り入れることで、術後の患者体験が大きく向上することが期待されます。

ただし、 すべての患者に適しているわけではない 点も重要です。術前の詳細な診断や患者の状態に応じた判断が必要となります。

もし腰痛や坐骨神経痛でお悩みの方は、整形外科専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけてください。


【参考文献】

Noh SH, Lee SW, Hwang JM, et al. Intraoperative Facet Joint Block Reduces Pain After Oblique Lumbar Interbody Fusion: A Double-Blinded, Randomized, Placebo-Controlled Clinical Trial. The Journal of Bone and Joint Surgery. 2025;107(1):16-25. DOI: 10.2106/JBJS.23.01480

 

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