成尾整形外科病院

脊椎外科(腰・首・肩・手足)・関節外科(肘・膝・股関節)を中心とした整形外科専門病院

元気になるオルソペディック ブログ

中高生アスリート必見!膝の離断性骨軟骨炎治療とスポーツ復帰の最新情報

中高生アスリート必見!膝の離断性骨軟骨炎治療とスポーツ復帰の最新情報

OCD膝痛.JPG

膝の離断性骨軟骨炎とは?治療法とスポーツ復帰率を徹底解説

膝の「離断性骨軟骨炎」は、中高生のアスリートに多く見られる膝の関節の病気です。この病気は、スポーツに情熱を注ぐ若い世代にとって、大きな課題となります。この記事では、膝の離断性骨軟骨炎の概要、治療法、そして治療後のスポーツ復帰についてわかりやすく解説します。

【離断性骨軟骨炎とは?原因と症状】

OCDMRI.JPG

離断性骨軟骨炎は、膝の関節部分である「大腿骨顆(だいたいこっか)」の一部が、骨と軟骨ごと剥がれてしまう病気です。剥がれた部分が不安定になると、関節の動きに影響を与えます。特に成長期の若者に多く見られる病気で、症状としては以下のものが挙げられます。

  • 膝の痛み(特に運動後に悪化)
  • 運動時の膝のロック感や違和感
  • 膝の腫れや可動域の制限

誰に多い?

離断性骨軟骨炎は、特に成長期の若い世代(8歳から18歳)に多く見られます。スポーツをする子どもたち、特に膝に負担がかかるサッカー、バスケットボール、野球などをしている場合に発症するリスクが高いです。

 

この病気は早期に診断し、適切な治療を受けることが重要です。放置すると、関節の変形や慢性的な痛みにつながる可能性があります。


【治療法の比較:保存療法と手術療法】

離断性骨軟骨炎の治療法には、「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。それぞれの特徴と成功率について解説します。

保存療法とは?

保存療法は、運動を制限しながら自然治癒を促す方法です。具体的には以下のような治療が行われます。

膝痛リハビリ.JPG

  • 運動制限:痛みが和らぐまで競技を中断します。
  • 装具やギプスの使用:膝関節を固定して安静に保ちます。
  • リハビリテーション:筋力トレーニングやストレッチで膝をサポートします。

保存療法の成功率は40.3%から87.5%と報告されており、成功した場合のスポーツ復帰率は84.7%から100%と非常に高いです。ただし、治癒には数ヶ月かかることが多く、スポーツ復帰までの時間が患者にとって大きな課題となります。

手術療法とは?

膝痛手術.JPG

保存療法で改善が見られない場合、手術が選択されます。手術には以下の方法があります。

  • 関節鏡を使ったドリリング:血流を促進して治癒を助けます。
  • 関節鏡視下骨釘移植術:剥がれた骨や軟骨を元の位置に戻し、固定します。

手術療法を受けた患者のスポーツ復帰率は100%で、同じレベルのスポーツに復帰できる割合は77.8%から100%です。また、手術後は膝の機能スコア(LysholmスコアやTegnerスコア)が向上し、多くの患者が良好な結果を得ています。


【どちらの治療法を選ぶべき?】

治療法の選択は、病状の重症度や患者のライフスタイルによります。軽度の場合は保存療法が有効ですが、次のような場合は手術が適しています。

  • 症状が改善しない場合
  • 痛みが強く、日常生活にも支障がある場合
  • スポーツに早期復帰したい場合

また、治療法を選ぶ際には、医師と十分に相談し、自分の目標や希望を伝えることが大切です。


【まとめ:スポーツ復帰は可能!治療とケアがカギ】

膝痛から復帰.JPG

膝の離断性骨軟骨炎は、適切な治療とケアを受ければスポーツに復帰することができます。保存療法でも手術療法でも、それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療を選びましょう。

この病気に悩む若いアスリートたちが、再び競技の場で輝けるよう、早期診断と適切な治療が重要です。膝の痛みや違和感を感じたら、早めに整形外科専門医に相談してください。


参考文献
Muchintala, R., Coladonato, C., Freedman, K. B., et al. Return to Sport After Treatment of Stable Osteochondritis Dissecans Lesions of the Knee in Adolescents: A Systematic Review. American Journal of Sports Medicine.

Hsu, J. C., & Tran, D. H. Arthroscopic Fixation of Knee Osteochondritis Dissecans With Interlinked Knotless All-Suture Anchors. Arthroscopy Techniques, 2022.

 

免責事項

  • 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
  • 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
  • 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
  • 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
  • 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。

当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。