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腰椎椎間板ヘルニアの自然経過:手術なしで症状改善は可能?
「腰椎椎間板ヘルニアの自然経過:手術なしで症状改善は可能?」
腰椎椎間板ヘルニアの自然経過とは?
腰椎椎間板ヘルニアは、多くの方にとって身近な疾患の一つです。「ヘルニア」という言葉を耳にすると、手術が必要なのではと心配になるかもしれませんが、実際にはそうではありません。この記事では、腰椎椎間板ヘルニアの自然経過について詳しく解説し、治療の選択肢についても触れます。
【ヘルニアの自然経過とその特徴】
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッションのような役割を果たす椎間板が外側に飛び出し、神経を圧迫することで痛みや痺れを引き起こす病気です。しかし、多くの場合、この飛び出した部分は時間の経過とともに小さくなります。
研究によると、症状があるヘルニアの約60%以上で、画像上ヘルニアの縮小が確認されます。特に、ヘルニアの種類によって自然に吸収される可能性が異なります。以下は代表的なヘルニアのタイプです:
- Sequestration型:飛び出した部分が切り離されている状態。最も吸収されやすいとされています。
- Transligamentous Extrusion型:椎間板が後縦靭帯から完全に飛び出している状態。これも比較的吸収されやすいです。
- Subligamentous Extrusion型:椎間板ヘルニアが後縦靭帯下内に飛び出した状態です。吸収されにくいため、椎間板内酵素注入療法の適応となります。
- Protrusion型:一部が飛び出している状態。吸収される可能性は中程度です。
- Bulging型:椎間板が膨らんでいるだけの状態。自然吸収は稀です。
【治療しなくても大丈夫?自然治癒の可能性】
腰椎椎間板ヘルニアは自然治癒が可能な場合が多く、必ずしも手術が必要ではありません。特に軽症例では、保存療法(薬物治療や理学療法など)を続けるだけで改善が期待できます。メタアナリシスのデータによれば、ヘルニアの自然吸収は早い場合で3ヶ月以内に始まることがあります。様々な神経障害性疼痛への鎮痛剤が保険適応となっており、有効な薬剤を選択することで吸収まで痛みを軽減することが可能となってきております。
【手術が必要になるのはどんな時?】
保存療法で改善しない場合や、痛みや痺れが日常生活に支障をきたす場合には、手術が検討されます。ただし、手術に至る割合は全体の2割から5割程度とされています。これは、ヘルニアのタイプや症状の重さによって異なります。手術についても内視鏡や顕微鏡など低侵襲なヘルニアの手術が可能となってきております。
例えば、強い神経症状を伴うケースや、足の力が急に弱くなったり膀胱直腸障害を伴うような重篤な場合は、早急な手術が必要です。
【まとめ:正しい情報で最適な判断を】
腰椎椎間板ヘルニアは、多くの場合、時間とともに自然治癒が期待できます。しかし、症状の進行や日常生活への影響を考慮しながら、医師と相談して最適な治療法を選ぶことが大切です。まずは、専門医の診察を受けて現在の状態を正確に把握しましょう。
引用文献
- 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第3版)
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