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外科医の「器用さ」は本物か?最新研究で明らかになった真実
外科医の「器用さ」は本物か?最新研究で明らかになった真実
外科医の器用さの秘密に迫る:最新研究からわかったこと
手術を成功に導くために必要なもの、それは「手先の器用さ」ではないでしょうか?しかし、外科医は本当に他の医療スタッフと比べて器用なのでしょうか?今回は最新のおもしろい論文の研究結果をもとに、その真相を解き明かします。
【外科医は本当に器用?研究が示す驚きの結果】
イギリスの研究チームは、病院の医療スタッフ254人を対象に、手先の器用さを測定する「バズワイヤーゲーム」という実験を行いました。このゲームでは、金属のループを曲がったワイヤーに沿って動かし、ループがワイヤーに触れるとブザーが鳴りスタート地点に戻らなければなりません。
結果は驚くべきものでした。外科医の成功率は84%と、内科医(57%)、看護師(54%)、非臨床スタッフ(51%)を大きく上回りました。さらに、外科医はタスクを最も速くクリアする傾向も見られました。このことから、外科医が持つ「器用さ」が科学的にも裏付けられたと言えるでしょう。
【ストレス下での冷静さ:外科医と他の職種の違い】
実験では、タスクを進める中での感情表現も観察されました。外科医は成功率が高い一方で、参加者の中で最も罵声を発する頻度が高かったのです(50%)。これは、ストレスの高い状況でスキルを発揮するために「感情を吐き出す」方法の一つかもしれません。
一方、看護師と非臨床スタッフは、フラストレーションの声(ため息や不満の声など)を上げる割合が高い結果となりました。この違いは、それぞれの職種が抱える日常的なプレッシャーやストレスの発散方法に関連している可能性があります。
【器用さを磨く秘訣:自然な才能か訓練の成果か?】
外科医の器用さは、生まれつきの才能なのでしょうか?それとも日々の訓練の成果なのでしょうか?この研究では、具体的な理由を断定することはできませんでしたが、手術中の繊細な作業や長年の経験がスキルを向上させている可能性があります。
また、外科医になる過程で選ばれる人々がもともと器用さを持っている、という「自己選択」の要素も考えられます。これを詳しく解明するには、さらなる研究が必要です。
まとめ
この研究から、外科医が他の職種よりも器用であることが科学的に証明されました。ただし、罵声や感情表現など、ストレス下での行動にも職種ごとの特徴があることが明らかになっています。
手先の器用さだけでなく、ストレスを乗り越える力やチームワークも、医療現場では欠かせない要素です。今回の研究結果は、医療スタッフ間の多様性を理解し、さらに良い医療環境を作るためのヒントになるでしょう。以上の文献はオープンアクセスなので無料で読むことができます。
【参考文献】
Tobin Joseph, Oliver I Brown, Sara Khalid, Marilena Giannoudi, Rebecca C Sagar, Elena Bunola-Hadfield, Stephen J Chapman, Thomas A Slater, Sam Straw, Michael Drozd. "Dexterity assessment of hospital workers: prospective comparative study." BMJ 2024; 387:e081814. doi:10.1136/bmj-2024-081814.
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