元気になるオルソペディック ブログ
頸椎損傷を見逃すな!見逃さないためのABCDとは?
頸椎損傷の見逃しを防ぐには?症状・診断・治療法を詳しく解説
【頸椎損傷とは?その特徴と初期症状】
頸椎損傷とは、首の骨である頸椎に外傷が加わり、骨や周辺組織、神経が損傷する状態を指します。主な原因は転倒や交通事故などですが、軽微な外力でも発生することがあります。特に高齢者や「びまん性特発性骨増殖症(DISH)」の患者では、骨の柔軟性が低下しており、軽い外傷でも重篤な損傷を引き起こすことがあります。
初期症状としては、首の痛みやしびれ、手足の麻痺などがあります。ただし、症状が軽いために「捻挫」と誤診されるケースも多いです。診断が遅れると、損傷が進行し、神経麻痺や脱臼などの合併症を引き起こす可能性があります。
【見逃されやすい理由と注意すべきポイント】
頸椎損傷が見逃される主な理由は、以下の通りです。
- 画像診断の難しさ
初期のX線やCT検査では骨折が分かりづらい場合があります。特にDISH患者では骨が強直化しており、わずかな変化が見えにくいことがあります。 - 自然整復の可能性
一部の頸椎損傷では、骨が自然に元の位置に戻る「自然整復」が起こり、見た目上異常が確認できなくなることがあります。 - 症状の曖昧さ
軽度の痛みやしびれだけでは、深刻な損傷であると気づきにくいことがあります。
【見逃しを防ぐための治療と予防】
頸椎損傷を適切に診断し、治療するためには、以下のポイントが大切です。
- 単純X線の詳細な読影
A:頸椎損傷のAllen分類を理解して損傷形態を見逃さないこと。特にDF損傷での脱臼症例が見逃されることが多い。
B:Burst 型(破裂骨折型)以外にも手術を要する症例があることをAllen分類から学ぶ。
C:Cervical cord injury(頸髄損傷)を神経学的所見から診断する。筋力低下や腱反射の消失、亢進などの異常所見を診断する。
D:DISHは高齢者に多く見られ、軽い外力でも重大な損傷を引き起こします。特にDISH患者は、転倒や外傷時に通常の患者以上に慎重な評価が必要です。
- 適切な治療の選択
頸椎損傷の治療には、保存療法と手術療法があります。症状や損傷の程度に応じて、手術が必要になることもあります。早期に治療を行うことで、神経症状の悪化や合併症を防ぐことが可能です。
診断の精度を上げるには、CTやMRI検査で椎間関節や靭帯の損傷を詳細に評価することが重要です。また、転倒や外傷後の高齢者に対しては、慎重な診察が必要です。
【まとめ】
頸椎損傷は時に、見逃されることがある外傷ですが、早期診断と適切な治療により、重篤な合併症を防ぐことが可能です。特に高齢者やDISH患者はリスクが高いため、注意が必要です。外傷後の違和感や痛みを軽視せず、専門医に相談することをおすすめします。
免責事項
- 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
- 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
- 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
- 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
- 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。
当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。