元気になるオルソペディック ブログ
肩が上がらない!腱板断裂とC5麻痺を見分ける方法とは?
- 肩が上がらない!腱板断裂とC5麻痺を見分ける方法とは?
【肩が上がらない!腱板断裂とC5麻痺の違いとは?】
肩が上がらなくなる原因として代表的なものに「腱板断裂」と「頸椎症性筋委縮症(C5麻痺)」があります。
どちらも日常生活に大きな影響を及ぼす疾患ですが、治療方法や症状の特徴が異なります。
この記事では、それぞれの疾患の違いや見分け方を専門医の視点からわかりやすく解説します。
【腱板断裂とは?肩の痛みと挙上困難の原因】
腱板断裂とは
腱板とは、肩の動きを助ける筋肉の腱(けん)のことです。これが断裂することで肩が上がらなくなります。
特に、転倒やスポーツ中のけが、加齢による変性が原因で起こることが多いです。
断裂が起きると、肩の痛みや力の入らなさが目立つようになります。例えば、腕を上げようとしても途中で止まってしまう「挙上困難」という症状がよく見られます。
症状の特徴
- 痛み:動かすときに強い痛みを感じることが多いです。夜間痛もよく見られ、睡眠に支障をきたすこともあります。
- 肩の動きの制限:特に腕を上げる動きが困難です。ただし、他人が手伝って腕を持ち上げると動かせる場合があります。
腱板断裂は早期発見・治療が重要です。放置すると肩の機能が回復しづらくなる可能性があります。回復しない場合は腱板修復術が必要となります。
【C5麻痺とは?首が原因で起こる肩の異常】
C5麻痺とは
C5麻痺は、頸椎(けいつい:首の骨)の神経が圧迫されることで起こります。
特に頸椎症性筋委縮症と呼ばれる状態では、神経が正常に働かなくなり、肩や腕の筋力が低下します。
C5は首から肩に向かう神経を司る部位で、この部分に障害が起こると「肩を上げる力」が弱くなります。三角筋はC5神経支配がほとんどなのでC5神経の圧迫で肩の挙上が困難となります。
症状の特徴
- 筋力低下:肩を上げる筋肉である三角筋が弱くなり、挙上が困難になります。
- 痛みの少なさ:腱板断裂とは異なり、痛みが少ないことが多いです。
- 神経の症状:肩や腕にしびれや感覚異常が伴うことがあります。
C5麻痺は放置すると筋力低下が進行し、回復が難しくなるため、早期の治療が必要です。
【腱板断裂とC5麻痺の見分け方】
両者の症状は似ていますが、以下のポイントに注目することで見分ける手助けになります。
症状の違い
- 痛みの有無:腱板断裂では痛みが強いのに対し、C5麻痺では痛みが少ないことが特徴です。
- しびれや感覚異常:C5麻痺では肩周囲のしびれや感覚低下がみられることがありますが、腱板断裂では通常ありません。
検査方法
- 画像診断:腱板断裂はMRIで断裂の有無を確認します。一方、C5麻痺は頸椎のレントゲンやMRIで神経の圧迫を調べます。
- 徒手検査:
頸椎症性筋萎縮症C5麻痺
- 上腕二頭筋の筋力低下も認めます。
- 上腕二頭筋腱反射の低下を認めます。
- Jackson、Spurling検査で上肢への放散痛を認めることもあります。
腱板断裂
- ドロップアームテスト:
- ペインフルアークテスト:
- 患者さんの腕を真横に上げた状態でゆっくり下ろしてもらいます。
- 腕が途中で落ちてしまう場合は腱板断裂が疑われます。
- 腕を側方から上げていく動作を行います。
- 肩の角度が約60〜120度の範囲で痛みが出る場合は腱板断裂の可能性があります。
専門医の診察を受けることで、正確な診断が可能です。
【まとめ】
肩が上がらなくなる原因には「腱板断裂」と「C5麻痺」があります。
両者の症状は似ていますが、痛みの有無や神経症状の有無、画像診断で明確に区別することができます。
肩の異常を感じたら早めに整形外科専門医を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。早期対応が症状の改善につながります。
免責事項
- 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
- 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
- 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
- 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
- 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。
当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。