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内視鏡下椎体間固定術(PETLIF)について
内視鏡下椎体間固定術PETLIFについて
広島で開催された第5回Spine Development Seminarで発表する機会を頂きました。
PETLIFの導入~間接除圧と直接除圧の利点を持つPETLIF~
PETLIFとはPercutaneous Endscopic Transforaminal Lumbar Interbody Fusion の略語であり、全内視鏡を用いた低侵襲脊椎固定術の手技です。北海道の長濱先生が2019年に発表された術式であります。当院でも2023年からPETLIFを導入しております。
PETLIFの手技を簡単に説明すると、まずは経皮的椎弓根スクリューを持ちて、すべり症など転位を生じた椎体を整復し仮固定します。次に約1cmの全内視鏡(関節鏡などのように生食を還流させて行う内視鏡)をKambinトライアングル(上関節突起とexiting nerve rootと終板で囲まれた3角形)に挿入し内視鏡で確認しながら上関節突起を削ってKambinトライアングルを拡大しスペースを作成します。そのスペースから椎間板を掻把し、骨移植と専用のCageを用いて椎体間を固定します。最後に椎弓根スクリューを締結して終了します。
従来の手術と異なり、筋肉を展開する必要もありません。また神経は直接触ることもありませんので、直接の神経損傷や硬膜外血腫などの合併症も少ないです。また傷も経皮的椎弓根スクリューの2cmの傷が4つと内視鏡の1cmの傷が1つと小さいため術後の疼痛、回復もはやいとされております。
椎体間固定術には従来からの後方からの手術であるPLIF/TLIFが一般的ですが、OLIF/XLIFといった側方から大型の椎体間Cageを用いて整復、安定化させるLatearali Interbody Fusion(LIF)も低侵襲固定術として普及しております。
当院でもLIFを導入しておりますが、脊椎の前側方からのアプローチですので、大血管、内臓器損傷などの可能性もゼロではありません。日本でもmajoar Complicationは報告されております。LIFは多くの症例で直接除圧をせずに、すべりの整復、椎間板高の復元での間接除圧が可能とされますが、間接除圧がなされない症例も報告されております。
石井先生はIline(Impingement lien)を提唱されており、I-Lienを超えての狭窄では関節除圧では成績不良と述べられております。PETLIFは間接除圧だけではなく、直接、圧迫因子である上間接突起をドリルで掘削し除圧を行うことができますので、間接除圧の利点と直接除圧の利点をもつすぐれた低侵襲固定術であります。
ただし、PETLIFは全内視鏡の技術を要しますので、どこの病院でもできる手術ではありません。九州で実施されている施設は、福岡、熊本、鹿児島のみです。PETLIFはすべての症例に適応できるわけではありませんので、固定術の適応と判断された場合は、担当医の先生と相談することをお勧めします。
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