成尾整形外科病院

脊椎外科(腰・首・肩・手足)・関節外科(肘・膝・股関節)を中心とした整形外科専門病院

元気になるオルソペディック ブログ

BKPで対応できない骨粗鬆症性椎体骨折とは?

骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術(BKP)は全身麻酔を要しますが、約30分程度で出血もほとんどなく、皮切も5mm程度と低侵襲な手術であり、高齢者に対しても安全に行える手術です.

BKP概要.JPG

BKPは有用な手術ですが、残念ながらすべての椎体骨折に適応とはなりません.骨折のタイプによってはBKP術後に椎体の圧潰、セメントの漏出、椎体不安定性などの合併症で再手術を余儀なくされることがあります.

BKPの再手術のリスクに関しての論文では大阪公立大学のTakahashi先生の論文が有名です.当院でもBKPで対応できない椎体骨折の参考に治療方針を決定しております.

 BKPrevisionrisk高橋.JPG

BKP術後に再手術の要因は①術前の屈曲伸展での可動域が14°以上の不安定性②椎体終板の3mm以上の欠損③スプリット型の椎体骨折の3つが危険因子と報告されております.

BKP再手術のリスク因子.JPG

BKPrevision risk椎体不安定性.jpg

Takahashi先生の論文からの引用ですが、前屈、後屈での椎体可動域が16°椎体不安定性が著明です。このような不安定性の強い椎体にBKPを行ってもセメントが安定せず、脱転や不安定性の継続によって症状の改善をえらえなかったり再手術になるリスクがあります。

②終板の3mm以上の欠損では椎体不安知性と椎間不安定性がありますので、BKPだけでは骨折部が安定しません。

破裂骨折終板欠損.JPG破裂骨折MRI予後不良型.JPG

BKPとlif.JPG

症例は破裂骨折型で終板欠損を呈しております。BKPだけでは対応困難と判断しBKPに側方椎体間固定術(LIF)および後方固定術を行い腰痛の改善とアライメントの維持ができました.

splitXp.JPGsplitCT.JPG

③split型椎体骨折。椎体の中央で椎体が縦に骨折し上下の終板と椎体が浮上した状態になり非常に不安定な骨折です。BKPだけでは対応できず,椎体置換術やLIFなどで前方の椎体間の安定化を得る必要があります。

別の症例ですの術後レントゲンですが、椎体置換術やBKPとLIFを併用して脊柱再建を行った症例です。

Xcoreとfenesetrat.JPGLIFとBkp.JPG

再手術のリスク因子がある場合は後方固定術の追加,椎体置換術,椎体間固定術の追加などを要します.

当院でもBKPに追加して低侵襲側方椎体間固定術(LIF)や椎体置換術,後方固定術を追加して骨折部の安定性を獲得する手技を行っております.

BKPを行う際には骨折型や椎体不安定性の有無をチェックして適応を決める必要があります.高齢者の骨折なのでなるべく低侵襲な手術で必要十分な固定性、安定性、アライメントの保持ができるような術式が必要となります。

骨粗鬆症性椎体骨折で腰痛が改善しない場合は整形外科専門医を受診して保存療法の継続が良いのか手術療法がよいか判断してもらうのがよいでしょう.

久しぶりに金峰山山頂までヒルクライムをしました。日影が多く、街中を走るよりも涼しくて楽しめました。山頂で休憩していと登山を趣味としている元教授と遭遇しました。80歳を超えているとのことですが、毎週登山を行っているとのことです。登山で足腰、心肺機能を鍛えられており、若々しい教授でした。私も見習って健康増進したいと思います。

金峰山峠の茶屋2024.jpg金峰山さるすべり2024.jpg

 金峰山山頂2024.jpg

免責事項

  • 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
  • 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
  • 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
  • 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
  • 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。

当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。