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外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法
外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法
椎間板内酵素注入療法は2018年に本邦で保険適応となった腰椎椎間板ヘルニアに対する治療法です.椎間板内の髄核に直接,コンドリアーゼ(商品名:ヘルニコア)を注入します。髄核のプロテオグリカンの保水能を低下させることで椎間板内圧を低下させてヘルニアを縮小させ,神経根へのヘルニアの圧迫を軽減させる治療法です.
当院でも2020年4月より導入し2023年現在までに320症例に椎間板内酵素注入療法を施行しています.
腰椎椎間板ヘルニアは脊柱管内の椎間板ヘルニアと椎間孔から外側に生じる外側型の腰椎椎間板ヘルニアがあります.外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する良好な治療成績が学会などで報告されています.当院でも外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法を導入いたしました.
外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法を熊本整形外科医会で発表しましたので紹介します.
2020年4月から2023年11月までに外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法を27例に施行しております.
術前,術後1,3カ月後の下肢痛,腰痛をNRSで計測して評価しております.
症例を1例提示します.48歳の男性.左大腿部痛.他院で治療されておりましたが改善なく2カ月後に紹介受診されました.
MRIではL3/4左椎間孔外にヘルニアを認め,L3神経根を圧排しておりました.腰痛はNRS3/10,下肢痛はNRS5/10でした.椎間板内酵素注入療法を行い術後3ヶ月でヘルニアは縮小し腰痛,下肢痛ともにNRS0/10と痛みもなくなり経過良好でした.
結果です.NRSは術前6から術後1ヶ月:3.4,3か月:2.2と改善しました.腰痛に関しては術前4.1から術後1ヶ月:3.2,3か月:2.5と改善傾向でした.
下肢痛NRS2以上の改善を有効群とすると78%(22例)が有効でした.ただし手術を要した症例が4例ありました.その中でも治療中に筋力低下が出現し早期に手術をした症例が2例ありました.2例とも中高年の椎間孔内ヘルニアの症例でした.
外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法の論文はKagamiらの論文のみですが,脊柱管内のヘルニアと外側ヘルニアは同等の治療効果で有用であったと報告しております.そのほかは学会発表で有効だったとの症例報告があります.
外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法は外側型の中でも椎間孔「外」ヘルニアに対しては有効で安全性も高いですが,椎間孔「内」ヘルニアに対しては麻痺がでる危険性もあるので避けた方が良さそうです.
2023年ももうすぐ終わりです.今年は4年ぶりに成尾整形外科病院の忘年会も開催されました.外に出る機会も増えて自転車通勤を含めての走行距離が3000Kmに達成しました.皆さん健康に気を付けてよいお年をお迎えください!
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