元気になるオルソペディック ブログ
椎間板酵素注入療法(ヘルニコア)~20歳未満の治療~
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
腰椎椎間板ヘルニアに対する治療としては保存療法と手術療法があります。従来は保存療法で改善しない場合は手術療法しか選択肢がありませんでした。
保存療法と手術療法の中間に位置するのが椎間板内酵素注入療法です。
局所麻酔で椎間板内にヘルニコアを注入して治療を行います。ヘルニコアの有効成分コンドリアーゼは、椎間板内の髄核を保水する成分(プロテオグリカン)を分解する酵素です。
髄核内にヘルニコアを注入することで、コンドリアーゼによって髄核内の保水成分が分解されると椎間板内圧が下がり、ヘルニアが縮小することで神経の圧迫が改善し痛み、しびれが軽減します。
椎間板酵素注入療法は2018年に保険適応になりました。学会、論文などで椎間板酵素注入療法の治療成績が発表されており良好な治療成績と安全性が報告されてきています.
20歳未満の治療は?
椎間板酵素注入療法の治験では20歳以上の成人を対象にして行われていましたので治験での治療成績はありません。徐々に20歳未満の患者への治療の成績が報告されておりますが,症例数的には多くはありません.
当院でも椎間板酵素注入療法が約300症例ありますが,その中で10例が20歳未満の症例でした.骨成熟が成人とみなされる症例に対して椎間板酵素注入療法を行っております.
第146回西日本整形災害外科学会(第146回西日本整形・災害外科学会学術集会 (linkage-okinawa.co.jp)で20歳未満の椎間板酵素注入療法の治療について報告してきました.
腰痛,下肢痛ともに治療後1ヶ月,3か月で改善しました.部活などスポーツ活動をしている活動性の高い若年者が多い(9/10例)ですが,治療後1ヶ月からスポーツ活動を再開してもらいスポーツ復帰は手術を要した2例以外復帰できました.
症例は高校3年生の症例です.野球部に所属していました.椎間板酵素注入療法で腰痛と下肢痛とも改善し,治療後1ヶ月から野球に無事復帰できました.ヘルニアも縮小,吸収されております.
残念ながら2例は効果がなく手術を要しましたが,残りの8例は椎間板酵素注入療法で症状の改善とスポーツ復帰できました.副作用も特に認めませんでした.
20歳未満でも骨成熟が成人と同等な場合は椎間板酵素注入療法でヘルニアの改善が望めます.腰椎椎間板ヘルニアの保存療法で改善しない場合は治療の選択肢の1つなり得ると考えております.腰椎椎間板ヘルニアの保存療法で改善ない場合は一度整形外科専門医を受診することをお勧めいたします.
西日本整形災害外科学会の開催が沖縄でしたので,学会終了後は周囲をサイクリングしました.11月ですがまだまだ暑い季節でした.ソーキそば,ゴーヤチャンプルーなど沖縄グルメを堪能いたしました.
免責事項
- 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
- 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
- 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
- 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
- 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。
当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。