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化膿性脊椎炎の起炎菌の同定方法とは?MIST
新型コロナウイルスの猛威が落ち着き、日常生活が落ち着いてきています。学会や研究会もwebではなく、face to faceで開催され、議論、討論できる環境がもどってきました。
先日、九州MIST研究会で感染性脊椎炎の発表をしてきました。
MIST研究会はMinimallly Invasive Spinal Treatmentの略語で低侵襲に固定術や制動術を達成することで脊椎の安定化を図るという新たな概念のもとに生まれた手技です。その後MISTの概念が広がり、従来法の低侵襲化、理学療法や薬物療法などの保存療法、予防医療、再生医療などの手技を含めてMISTとなっております。
MIST学会 - 最小侵襲脊椎安定術の安全な普及のために (s-f-mist.com)
九州MISTの開催形式がTED形式でとても斬新でした。自由に発表してよいとの開催会長からの発表形式でしたので、いつものスライドとは形式を変えて発表しました。
症例に対する診断や治療方針についてQ&A形式で会場の皆さんに挙手をあげてもらうようにしました。
化膿性脊椎炎は高齢者や免疫不全患者など全身の予備能力の低下している患者さんで生じることが多いので、診断、治療に関してはなるべく低侵襲は方法が望ましいです。
診断についてはまずは起炎菌を同定しないことには有効な抗菌薬などの化学療法が開始できませんので起炎菌同定はとても重要です。
鳥取大学からの報告では、血液培養およびCT下ドレナージで80-90%と驚異の同定率を報告しています。事前に抗菌薬などが投与されていると同定率がさがりますので、この同定率は驚きです。起炎菌同定に関して見習って同定率を上げていきたいです。
最近では全内視鏡(fullendoscpe)を用いて、局所麻酔下で椎間板を穿刺し、起炎菌の同定および掻破まで行える低侵襲な診断、治療法があります。当院でも積極的に内視鏡を用いて起炎菌の同定を行っております。
血液培養検査、CT検査、心エコー検査、齲歯などで多臓器に感染の原発巣がないかチェックも必要です。特に、感染性心内膜炎(IE)との合併例も2-43%と報告されています。IEは死亡率も高いため、化膿性脊椎炎を診断したら、心エコーでIEの除外診断は必須です。
アベルも以前に化膿性脊椎炎とIEの合併例に心臓外科医とコラボレーションしてIEの手術と脊椎の前方後方手術を行ったことがあります。(もちろん術後はCCUで心臓外科医の先生に術後管理していただきました。たくさん点滴がつながっており、とても整形外科医で管理できませんでした。(汗)
研究会の後は、懇親会、その後は、仲良くしてもらっている北海道の大御所の先生と鹿児島の先生と穴場の飲み屋で夜遅くまで久しぶりに飲み明かしました!
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