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稀な腰痛?Bertolloti症候群とは!
稀な腰痛?Bertolloti症候群について
2023年も新年度になり、5月8日から新型コロナウイルス感染症も5類相当になりました。日常生活や経済活動が徐々に活気がでてきて以前のような生活が戻ってきております。
学会や研究会などもweb開催から現地開催や現地とweb配信のハイブリット開催となってきております。
4月に札幌で開催の日本脊椎脊髄病学会(JSSR)と5月に横浜で開催された日本整形外科学会(JOA)に現地で発表してきました。
JSSRは脊椎関連では日本で最大規模の学会で多くの脊椎外科が参加する学会です。JOAは整形外科学会の中で最大規模の学会で脊椎外科、関節外科、手の外科、腫瘍、小児整形、リハビリテーション、基礎研究など整形外科のすべての分野が発表される学会です。
当院からはBertolloti症候群についての発表をしてきました。Bertolloti症候群は腰椎と仙骨の移行部で最も下の腰椎の横突起と仙骨翼が癒合を生じた形態異常(通常L5/S椎間)のことを呼称します。
横突起と仙骨翼の関節形成での腰痛や隣接の上位椎間へ力学的負荷が増大することで隣接椎間の変性や椎間関節の変性を生じ腰痛(通常L4/5椎間)を生じると報告されています。
分類としてはCastellvi分類が知られております。Type1は横突起の肥厚が19mm以上、type2が横突起と仙骨翼が関節軟骨性に癒合、type3が横突起と仙骨翼が骨性癒合、type4がtype2と3の混合したもとと分類されます。片側性がAが、両側性がBと分類されます。
当院の外来患者さんで、2019年から2022年の3年間で腰痛、下肢痛を伴って受診した患者さんでのBertolloti症候群の頻度を調べました。(Type1は除外しております。)
結果ですが、5702例中294例と5.2%にBertolloti症候群を認めました。今まで日本での発生頻度などの報告はありませんが、まれな病態と報告されておりましたが、日常診療では5%以上に認め、決して稀な病態とは言えないことがわかりました。
診断ができたら、リハビリテーションや薬物療法、関節形成部へのブロック注射など治療方針がたてます。ブロック注射もかなりの患者さんで有効な治療法です。
またBertolloti症候群の隣接の椎間で椎間板ヘルニアやすべり症が発生する頻度が多いと報告されており注意が必要です。
患者さんに病態を説明した際も初めて指摘されましたという人が多かったです。
長引く腰痛、下肢痛で悩んでいる方は一度専門医に受診して診察を受けることをお勧めします。
学会終了後は札幌の名物、ジンギスカンと味噌ラーメンで知り合いの先生方と打ち上げで楽しいひと時を過ごしました。同世代の先生たちの学会での活躍を見るとやはり現地での開催は刺激になります。
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