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非骨傷性頸髄損傷には早期手術が有効である!その2
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
前回の続きになります。非骨傷性頸髄損傷に対して早期手術が有効か有効でないかのエビデンスレベルの高い論文は現在まで存在しませんでした。
日本の脊椎外科医が長年にかけて、前向きランダム化試験で非骨傷性頸髄損傷に対して早期手術が有効か検証したのが、OSCIS研究となります。
受傷24時間以内の手術群と受傷から2週間の保存療法後に手術介入する群で運動麻痺の改善について検討しています。
麻痺のレベルはASIA Cという不全麻痺の症例を対象としております。完全麻痺では両群でも回復は悪く、麻痺の軽いASIA D以下ではどちらも改善しますので、一番改善するかしないかがわからないASIA Cを対象としてます。入院後24時間以内に手術を行う早期手術群と2週間保存療法を行った後に手術を行う待機群での治療効果を前向きランダム化試験で行ってます。
両群に割り付けられた症例のバックグラウンドには差がありません。
結果ですが、受傷から6か月の時点では早期手術群が有意差をもって、運動麻痺が改善しております。1年後では早期手術群が麻痺の改善が良好でありましたが、統計学的有意差はつきませんでした。
統計学的有意差がつかなかったことは残念でしたが、この結果については統計解析のところで記載がありますが、統計学的有意差をつけるために両群とも50症例以上が必要とされております。すなわち、今回の結果では本当に有意差がなかったかを統計学的に必要な症例数が足りなかったことになります。本当に「有意差がなかった」のか症例数が足りずに「有意差」がでなかったのか結論はでません。
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受傷6か月の時点では有意差をもって改善したが、1年時の時点での有意差がなかったのは症例数が足りない可能性があるのです。両群とも50症例以上であったら有意差がでていたかもしれません。これだけ他施設で行った前向き研究ですが、症例数が十分に足りないのは非骨傷性頸髄損傷のエビデンスをつくることが如何に大変かがわかります。
この結果からは早期手術したほうが運動麻痺の改善が良さそうといえますが、統計学的有意差はないとしか言えません。脊髄損傷の治療は時間との勝負ですので、この結果を踏まえると早期手術をして回復を待つのがよいと思われます。有意差がでなかったから、大気手術が良いとの結論には至りません。
第47回日本骨折治療学会で「非骨傷性頸髄損傷に対する手術治療経験」として発表しましたが、コロナ渦でweb発表となり十分な議論はできませんでした。
来年の第49回日本骨折治療学会では非骨傷性頸髄損傷に対する早期手術がシンポジウムになっており非常に興味深いです。ぜひ参加して日本での非骨傷性頸髄損傷に対する治療の現状について勉強したいと思います。
北海道の脊損センターの須田先生は非骨傷性頸髄損傷に対する手術は除圧術だけでなく、除圧固定術も必要と述べられており、手術術式についてもまだまだdiscussionが必要と思われます。
非骨傷性頸髄損傷の手術(臨整外 54:375-379 2019)
結論としては麻痺の強いASIA Cには早期手術が良いようです。善は急げです!!
脊損センターに手術見学に行った際のスープカレー 美味しかったです。
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