元気になるオルソペディック ブログ
非骨症性頚髄損傷には早期手術が有用である!!善は急げ!!その1
増えていく高齢者の脊髄損傷
長期高齢社会になっており、加齢とともに増える、変形性関節症や脊柱管狭窄症など変性疾患も増加しております。90歳以上の高齢者に手術加療を行うことも珍しいことではなくなってます。
非骨傷性頸髄損傷とは?
高齢者では転倒、軽微な外傷などによって、もともと脊柱管狭窄のある頚髄では脊髄損傷を呈し、四肢の麻痺を生じることがあります。特に骨折を伴わない頚髄損傷を非骨傷症頚髄損傷といいます。骨折や脱臼などを伴った頸髄損傷に対しては骨折部の安定化、脱臼整復での脊髄の除圧が必要なため手術適応であることは確立されておりますが、もともと脊柱管狭窄が存在し脊髄の圧迫を呈している非骨傷症頚髄損傷に対して、早期に除圧術を行ったほうがよいのか?、保存療法がよいのか?は以前より議論されておりました。
特に早急な除圧術が必要か?必要でないか?で一番問題となるのは「歩行可能となるのか?車いす、寝たきりになるか?」の瀬戸際の運動麻痺であるFrankel分類 B,Cが最も議論の的になります。Frankel分類D以下だと保存療法でも歩行可能であり,待機できますが,Frankel分類B,Cに関してはその場で手術療法か保存療法がよいか即座に判断し治療を行わなければなりません。
今まで、最もエビデンスレベルの高い、ランダム化比較試験(Randomised Controlled Trial, RCT)大規模な臨床試験はありませんでしのたので、各施設で治療方針を決定していたのが現状でした。
OSCIS investigators
今回、群馬大学の筑田先生をはじめとした、日本の脊椎外科医が協力して行った、研究がpublishされました!(オープンアクセスなので検索すると自由に論文が読めます。)
OSCIS試験は研究開始が2011年から2019年と9年間にかけての長期の研究で、日本の多くの施設で行われた、RCTです。RCTを行うには多くの時間、労力が必要であり、RCTに参加され早期の手術に挑まれた先生方には本当に頭が下がります。この論文が世界レベルで脊髄損傷治療に対しての治療方針を決めるために非常に参考になります。
非骨傷性頸髄損傷に対しては、福岡の脊損センターからpublishされた論文が有名です。
この論文は非常に重要です。Frankel B,Cの非骨傷性頸髄損傷に対する初の保存療法と手術療法の前向き比較試験だからです。
結果については保存療法と手術療法で統計学的有意差がありませんでした。
このことから国内では非骨傷性頸髄損傷に対して保存療法が選択される傾向にありました。非骨傷性頸髄損傷に対して手術が不要とのメッセージになっていましたが、実はこの論文のメッセージは手術が不要とのことではありません!
受傷から手術を施行されるまでの日数が受傷後3~23日平均9.5日と受傷後1週間以上経過してから手術を行われているのです!
このことは非骨傷性頸髄損傷に対して手術が不要ではなく、受傷後に遅れて手術介入をしても保存療法と運動麻痺の改善に差がないとのことを示してくれた論文です。
受傷早期に手術を行うと麻痺は改善するか?についてはこの論文では結果はでてません。
国内でも早期手術を推奨している報告がある!
国内でも早期手術を推奨している報告がありますが、残念ながらエビデンスレベルは高くありません。
AO SPINEも早期手術を推奨!
海外では非骨傷性頸髄損傷に対して早期の手術で麻痺が改善したとの報告があり、AO SPINEグループも早期の手術を推奨しております。
今回のOSCSI試験では非骨傷性頸髄損傷に対して手術をしないという選択肢はなく、早期に手術か待機手術かの比較試験となっております。
長くなりましたので次回、内容を見てみましょう。
ピザでも食べながら休憩です。
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