手術で外科医が最も困ることは術中に出血が止まらない、止血困難です。

高齢者では脳梗塞や心筋梗塞など心血管イベントの既往のある患者さんでは抗血小板薬や抗凝固薬（いわゆる血液サラサラの薬）を飲んでいることが多いです。術前、周術期はかかりつけ医に確認してから休薬し術中、術後の出血対策を行っております。

 

先日、JPSTSS学会（日本脊椎・脊髄手術手技学会）のweb講演を聴講しておりました。

手術における出血対策について講演がありました。外科医として手術の中で一番困ることは出血が止まらない、止血できないことです。特に脊椎手術では術中、術後に出血が止まらないと硬膜外血腫を生じて麻痺や激痛を生じることがあります。緊急再手術などを要するので特に術中止血手技については気を使って行っております。

講演内容ですが、手術の止血手技や止血剤などテクニカルな技術も勉強になりましたが、一番驚いたのはサプリメントの中には出血傾向を生じるものがあるとのことでした。

サプリメントを長期間内服していた症例で止血困難で大量出血に至った症例の提示は衝撃でした。

サプリメントの中で、にんにくとイチョウ葉は血小板凝集抑制作用があるため周術期の内服には注意が必要とのことです。アベルは、初めて知りました！（驚）

アベルJr.より拝借（アベルJr.の希望により悟空のsecret　cardも掲載）

 

サプリメントについて　接種状況の確認にはコツがある！　永井梓　

LiSA VOL.25 NO.06 2018-6より

文献的には有賀先生がLancetに1981年にニンニクの血小板凝集抑制効果について報告してます。（Platelet　aggregation　inhibitor　in　garlic:Lancet　January17,1981）

脊椎手術でもニンニクサプリメントの内服で止血困難なcase　reportがありました。

　

Garlic-Induced Surgical Bleeding: How Much Is Too Much?

Anna　Woodbury　AA　Case　Rep.2016　Dec　15;7(12)

当院においても、術前にサプリメントの内服を確認して、手術前にはサプリメントの内服を一旦やめてもらうように変更しました。手術が落ち着いて、出血傾向がなければ再開できますので、術前、術直後は休薬をよろしくお願いいたします。