成尾整形外科病院

脊椎外科(腰・首・肩・手足)・関節外科(肘・膝・股関節)を中心とした整形外科専門病院

よく行われる手術

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術とは

1950年代から行われている手術です。人工関節のデザイン、材質の進歩もあり手術後の成績は飛躍的に向上してます。病期が進行した関節の荒廃が著しい例が適応になります。手術の時期は、患者様の疼痛の程度と日常生活の不自由さ等により考え、決してX線像だけで決まるものではありません。耐応年数が問題となるので、60歳以上の人が適応となることが多いです。

  • 人工膝関節置換術1
  • 人工膝関節置換術2

合併症

人工膝関節の材料やデザインの改良、手術技術の進歩によって成績が向上し、人工膝関節置換術による合併症は非常に少なくなりましたが、次のような合併症が起こることがあります。

(1) 感染

数%という低い発生率ですが、細菌感染により化膿が起こることがあります。骨の中に細菌が感染するとなかなか死滅させることができないため、関節を洗う手術をしたり、進行すると感染の起きた部分の骨が溶け、人工関節を取り出すこともあります。 また、手術直後に感染しても症状が現れず体力が低下したときなどに、感染の症状が表面に現れることがあります。ごくまれに手術後数年たってから感染が起こることがあります。

(2) 人工関節のゆるみ

細菌感染により骨の一部が溶けると、人工膝関節と骨との間にゆるみを生じることがあります。また、人工膝関節の超高分子ポリエチレンや金属の摩耗粉(まもうふん)が生じ、この摩耗粉を細胞が取り込んで炎症を起こしたり、摩耗粉が人工膝関節と骨の隙間に侵入し骨が溶解すると人工膝関節にゆるみが生じることがあり、場合によっては人工関節を入れ替える手術が必要になります。

人工膝関節全置換術について当院にての特徴

1.手術を正確に行う

ナビゲーションシステムを用いた手術
手術の際は、 手術中にレントゲン撮影し、得られた患者さん自身の骨格の情報を、ナビゲーションシステムに入力します。そして、人工関節(インプラント)を設置する位置やサイズなどを決定します。手術をする医師は患者さんの関節と、ナビゲーションシステムの画面を確認しながら手術をします。これにより、骨をより正確に切除することが可能となり、術前計画通りに人工関節を設置することができます。 ナビゲーションなどのコンピューター支援手術を使用することの利点 これらの装置を使用すると、見えないところが見えてきます。皮膚や筋肉の向こう側にあって見えない組織や骨が、コンピューターの手術中モニター上にあたかも目で見ているかのごとく「見える」わけです。手術に使用する道具が骨のどの辺りを削っているのか、それがなかなかわからないことがあるからこそ人工関節の手術は難しいと言えます。ナビゲーションで、見えないところを見て手術を行えばエラーが出る確率は格段に低くなります。そして、正確な人工関節の設置が行えればそれだけ人工関節の寿命も長くなる可能性が高くなるのです。

ナビゲーションシステム

2.術後の痛みをなるべく軽減。

最小侵襲手術(皮膚筋肉への切除をなるべく少なくすることで術後疼痛を軽減する方法。)がトピックスとして学会にて報告がある。しかし、傷が小さくなることで、骨の確認が不十分となり、手術の正確性が損なわれるとの報告も散見される。そこで、当院にては最小侵襲手術にても正確性を損なわず、手術を施行するため、ナビゲーションを用いて手術を行っている。

最小侵襲手術

正確で再現性があり、術後疼痛が少ない手術が理想であり、当院にてはその理想になるべく近づけるため、努力を行っております。 変形が高度になると、最小侵襲手術が困難となります。また、あまり高齢になると全身状態的に危険性が増します。(実際、手術希望の患者さんを全身状態チェックしたところ、心臓が弱っており、手術不能であり、痛そうに外来通院されてる方もいます。)60歳、70歳台にて膝痛でお困りの方は、積極的に当院外来にてご相談ください。